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貴方side
あまりにも怖くて泣いてしまった
見られないように、悟られないように彼の胸元に顔を隠す
そのまま服をギュッと掴む
こうしていればきっと着くよね…？
ut「Aちゃんないてるん…！？ごめんな、調子乗りすぎたわ…すぐ降りるからな…！」
『泣いてなんか…ない…！』
全力で否定する
まぁ泣いてるんだけどさ…
私はか弱い女の子であっちゃダメだから、王として強く在らねばならないのに…
どうして鬱の前ではか弱くなるんだろう…
どうしてこの優しさに甘えてしまうんだろう…
ut「そんな強がらんくてもええのにな…怖いのは怖いでええんやで？」
そんな優しい笑顔を向けないで…私がどんどん弱くなっていく
この国すら守れなくなってしまう…私にとってこの国は家族。家族を守る力のない王は…王じゃないわ…
『怖くても正面から行かなきゃ行けないこともあるよ…？怖くても怖いなんて言って逃げてるようじゃダメなの…！だからそのまま飛んでていいよ』
ut「逃げが全てダメなんてことないで、時には逃げんと守れるものすら守れんくなるでな。まぁ降りるのは僕がAちゃんに嫌われたくないだけなんやけどな」
ストン…と地面に降り立つ
私の手を取り歩き始める
ut「こうやってゆっくり帰るのもええな、新しい発見があるかもしれへんやろ？」
新しい発見…かぁ
辺りを見渡す
この辺は建物こそ何も無いが、領土としては私達の国のところだ
モンスターがいるせいでここには誰も住めない
…懐かしい
何も無いところから3人で国を作った日のことを思い出す
今思えば０からのスタートだったのに今ではとても大きな国になった
各種族の得意分野を活かして必要な物、技術を発展させる
その結果、人間達の発展させた化学とその他の種族の魔法が重なり合って武防具が出来ていった
他の国にはない技術。私達だから成しえた唯一無二のもの
そんなことを思い返しながら歩く
何もない草原を歩んでいくだけだったが
私は歩みをとめた
それは自動的に彼の腕を引っ張り、彼の歩みも止めた
ut「どうしたん？」
『ねぇ…あれ…』
空の上にぽっかりとあく穴
あれはなんなのだろうか
ut「まさかやけど…天界と人間界を繋ぐ通路が開いてるんか…！？」
そこから小さな羽の生えた人達が出てくる
小さいから下級なのかな
そして地面に何かのお絵描きをしている
あれは…なに？
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作者名：くいな | 作成日時：2019年11月28日 20時
