続 ページ24
大勢の兎頭が座る長机の隅に腰かけた。
配膳されたなにやら妙な食べ物を机の上に置き、息を吐く。牢を出て数分だがAは船内の様子にすっかり疲れきってしまっていた。
食堂もどうやらAについて囁く声でいっぱいだった。それは兎頭の視線からすぐにわかったし、囁きも四方八方から聞こえてくる。それらは大抵あまり気持ちのいいものではなかった。
口に運んだ宇宙船も気分のせいなのか、はたまたこの食品の元々の持ち味なのか、柔らかい砂のような食感、まったくの無味である。
異常に口の中の水分を吸収するそれを飲み込み足早に席を立った。
大勢に好奇の目で見られるのは気分が悪いものだ。
人気のない所を探し、3階分ほど階段を降りた。下への階段が見当たらないということは、ここは最低階なのだろう。
階段を降りた先には廊下などはなく、暗い部屋が広がっていた。
その暗さ故に部屋の広さは目測できないが、暗闇に浮かぶなにやら機器の光で決して狭い部屋でないことだけはわかる。
誰も居ないようだ、恐る恐る中へと進んだ。
暗闇に目が慣れた頃、Aはなにやら紙に触れた。
いつの間にやら机に手を載せていたらしい。
紙を持ち上げる。横で緑に光る液晶画面と暗闇に慣れた目のお陰で書かれた内容を読むとができた。
しかしその言語は全く意味不明である。
横に添えられたイラストから察するに、横に佇む緑と白で構成された液晶画面の中に映っている機械についての説明のようだった。
紙には言語の他になにやら丸と、液晶画面にある機械と、苦しんでいる人型、傷付け合う人型、そして機械に攻撃されているらしい丸が描かれている。
なにか引っかかるものを感じたが、紙を置きさらに奥に進む。
少し奥にある机の横には液晶画面、机の上には5本の注射器が置かれていた。
今度は紙はない。
液晶画面によくわからない言語とイラストがある。
人型が、注射を打たれたことにより連続で子供を産む、という内容なのだろうか。
あろう事か、その人型の横にはAの名前が書いてあった。ここだけは日本語らしい。
ならばこれはAに投与されるということなのだ。
人体は連続した出産になど耐えうるのだろうか。
恐怖から思わず踵を返し、一目散に部屋から出ようと走った。
が、1階分も登らぬうちに誰かにぶつかる。
背の高い兎頭だ。
兎頭は無言でAの腕を掴むと乱暴に牢まで運び、叩きつけるようにAを牢に入れた。
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さくらんぼ☆*.ﾟ︎ - 初コメ失礼します！このお話 最高です！続き気になります！更新頑張ってくださいね！！応援してます！ (2022年12月12日 0時) (
レス) id: def3760315 (このIDを非表示/違反報告)
薄良(プロフ) - お餅さん» うわあああ申し訳ねぇ.......細かい設定を忘れ去っていました。普通に主人公の年齢と合いませんね.......細かい年齢表記削除しておきますありがとうございます (2020年2月20日 0時) (レス) id: 38546ea573 (このIDを非表示/違反報告)
お餅 - あの…総悟が5歳のときって土方さんいましたっけ？土方さんが来たのって総悟が13くらいのときじゃありませんでした？違ったらすみません (2020年2月19日 18時) (レス) id: 436e739fd5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：薄良 | 作成日時：2019年5月6日 0時
