*もしも会えたら ページ3
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「おっはよー!…ってすごいクマ…」
「おはよ…」
志乃里に頬をぺちぺちと叩かれるけど反抗する気力もない。
昨日は浦島坂田船夏ツアーの当落発表。
当たる!、と意気込んでいたあのテンションはどこへやら。すごく気分が重い。
あと1週間で一般発売もあるから、と自分を慰めたけどそう上手くいかないと思う。
今までは最悪でもこの先行でチケット当たってきたのに。
この夏にライブに行けなければ春ツアーまで浦島坂田船はお預け状態となる。そんなの嫌だ。
ほんと、どうしよう。
「あー……あれだよね?浦島坂田船?のチケットじゃない?」
「え、なんで知ってるの?」
「…えっとたまたま」
その言い方に不信感を覚えたことよりも私にはチケットのことしか頭にないわけで。
「このツアーに行けなかったら春まで4人のライブ行けないんだよ?」
「ワンマンライブとかないの?」
「もちろんあるけどっ…察して欲しい」
「あぁ…」
言葉では言い表しにくいけど私はたまにワンマンライブにも参戦するが第1は浦島坂田船、を応援しているので4人のツアーが第1優先。
「そんなに会いたいの?行きたいの?」
「は?もちろんに決まってる」
「じゃあもしも4人がAと会いたいって言ったらどうする?」
試すような言い方だ。志乃里を顔を見てみると真剣な眼差し。
冗談で言っているんだよね…?
「会いたい、けど実際に私は私のペースで推してるからなぁ…」
「ほう」
「とは言っても会うよ!そう言って貰えるの嬉しいじゃん」
「なるほど」
浦島坂田船4人が私に会いたいだなんて言ってくれるのは夢の中だけだよ。
私はリスナーさんでまだまだ推し歴は少ない。推し歴で愛が決まるとかじゃないけれど4人の知らないところ沢山あるだろう。
だからもっと深く知っていきたいし、ライブにも行きたい。
「分かった、分かった!Aの愛はよく伝わったよ!」
「あ、そう?」
「いつか、会えるかもね?」
「は?」
「ま、お楽しみに」
そう言って私の手を引いて歩く志乃里は明るい顔をしていた。
どういうことだろうか?
ただの励まし?
本当に会えるとか?
そんなことないか。
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くりぬこ - お話とても楽しく読まさせて頂きました!!こんな事が現実になればどれほど嬉しいことか…まあないですけどね(笑)これからも更新楽しみにしています! (2019年3月28日 16時) (レス) id: 8b048cd6e4 (このIDを非表示/違反報告)
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