いつかの彼をなぞって−�� ページ43
「…哀ちゃん、今日も休みなのかな」
お昼休み、ぽつんと空席を見て吉田歩美は呟いた。心配そうな声色に反応して、元太、光彦も頷く。
「もう一週間くらい見てねーぞ…風邪引いちまったのか？」
「でもこの間はそんな様子はありませんでしたよ。だから多分…」
光彦少年は想起する。同級の友、江戸川コナンが伝えられた悲劇を。
『――遥斗さんが、事件の爆発に巻き込まれて死んじまった…』
灰原哀が授業を休みがちになる直前、暗い顔をしてそう報告した江戸川の言葉を最初三人は信じなかった。が、彼の人柄的に性質の悪い冗談を言う人物ではないと言う信頼、灰原が珍しく何日も欠席を続けている事実、極めつけはどれだけ連絡を講じても返信の来ない倉間本人により、信じざるを得なかった。
「博士の家に行ってみても、ずっとぼーっとしてたもんね…」
何をするにも手付かずな灰原は、傍から見れば危なっかしかった。飲み物を出そうにもつまずきそうになり、ふと顔を見れば目元に隈が出来ており、返事もいつもより遅い。元気が無い事は火を見るよりも明らかだった。
「…私、今日も哀ちゃんの所行ってみる」
「俺も行くぞ！」
「ボクも行きます！」
「…あんまり行くのもよした方がいいんじゃねーの？灰原だってそっとしてほしい時期もあるだろ」
三人が意気揚々と突撃を計ったのを見かね、江戸川は口を出した。ここ数日の灰原の様子は、彼の方が知っているからだ。
灰原には今、時間による休みが必要だ。だから余計に一人の時間が減っては負担になるだろうという善意からの言葉だった。
「何言ってるの、コナンくん！辛い時は誰かと一緒にいた方がいいよ。泣きたい時だって誰かと一緒に泣いた方が、悲しいのが減るよ！」
「そうだぜ！倉間の兄ちゃんも言ってただろ、"赤信号、みんなで渡れば怖くない"って！」
「元太くん、多分それは参考にしちゃいけないやつです…でも確かにみんなで一緒の方が、灰原さんの背負う負担も減りますよね」
「お前ら…」
真摯な彼らの様子を見て、江戸川は根負けした。
「分かった。放課後行くか」
江戸川の言葉に、三人はやる気に満ちた様子で"おー！"と頷いた。
放課後、一同は一抹の不安を胸に阿笠博士の豪邸へ辿り着く。見知った仲だからか、チャイムを鳴らすのに遠慮は無かった。
「おお、君達か」
「こんにちは、博士。哀ちゃんいる？」
「哀君か…」
阿笠博士は後ろ髪をかいて、困ったように言葉を濁す。
「…まあ、呼んでみるかの」
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想世(プロフ) - みそらーめんさん» コメントありがとうございます。元ネタはとあるボカロ曲ですね。応援もありがたいです、色々と落ち着いたら更新頑張りたいと思います。 (2023年1月22日 9時) (
レス) @page46 id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
みそらーめん - 元ネタの元ネタが人間失格、、、！何となく分かるような、、、？この作品、大好きです。体には気をつけて更新頑張ってください。 (2023年1月22日 8時) (レス) @page47 id: c05dcaa337 (このIDを非表示/違反報告)
想世(プロフ) - 早桃さん» コメントありがとうございます。気に入って頂けたのなら何よりです。これからも更新頑張らせて頂きます。 (2022年12月18日 18時) (レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
早桃 - やばいめっちゃ好き、、、！面白すぎて一気に読んじゃいました！！独特な世界観が個人的にツボです笑 これからも無理せずに更新頑張って下さい！応援してますぅぅぅ！大好き！ (2022年12月18日 17時) (レス) id: f9af42ef58 (このIDを非表示/違反報告)
想世(プロフ) - せいあさん» 再度コメントありがとうございます。自分でも驚きですが、名残惜しくも次作で本編完結となります。どうぞ最後まで楽しんで頂けると幸いです。 (2022年12月1日 21時) (レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：想世 | 作成日時：2022年12月1日 18時
