交わる異世界線−�� ページ26
(タイミングが悪い…！)
僕が唯一無事にアイツに勝てる有効打だったろうに。己の誤算に奥歯を噛み締める。自然と握り拳に力が入り、撃たれた右手は激痛を訴える。
「コニャックの息子である倉間遥斗が消えた事にはショックだった…しかしどこの馬の骨かは分からないが、未来を知る倉間遥斗が代わりに来た。本当に嬉しいよ！お陰で俺は刺激的な体験をさせてもらったんだからな」
「――…」
「あの日――コニャックに抱いた感情はもう二度と味わえないと思っていた。だが君と出会い、俺は再びその味を噛み締める事が出来た」
「愛という、呪いのようで祝福であり、本能をくすぐらせる素晴らしき感情を」
何か、何か策は無いのか。必死に思考を巡らせる。今までになく頭脳は回る。しかしどれだけ策略に知を費やしても、むしろ現状は絶望的である事を叩きつけられるだけだった。
「これがマニアかアガペーか、それともエロスか、はたまた別の物は分からない。が、間違いなく俺の中で君に対してうごめく情愛は本物さ」
「――そんなのは、愛じゃねぇよ」
「これが愛さ、俺なりの。例え君から歪んで見えようとも、俺は俺の感情が間違っているとは思わない。そもそも、感情というのは客観的に決められるものではないよ」
「主観的な感情こそ絶対…だったら拷問だってしていいと？」
「それ以外でこの激情のぶつける方法を、俺は知らないのさ」
――ああ、ダメだ、コイツとは絶対に分かり合えない。
元々説得なんて甘い真似は出来ないと予想していたが、むしろ僕の胃を削る羽目になるだなんて。
(やっぱり細胞レベルで気持ち悪いな、コイツ！)
ヤツがゆっくりと振り向いた。瞬間的にありとあらゆる細胞や器官がヤツを拒絶する。じっとりと粘度の高く、異常な熱に駆られた瞳に思考と本能を掻き乱されそうになる。
「さて、君は恐らく助けを呼んだんだろ？俺の予想だともう少しで着くだろう…やはり時間には余裕を持って行動しないとな。だから、遊びはおしまいだよ」
「…！」
アルマが僕に近付いてくる。
「仮に雇った奴らを突破されたら、駐車場も見張られるだろうからね。屋上にヘリを用意しておいたんだ。空からなら、奴らだって追えまい？もう二度と君は自由にはなれないよ。そして君をだしにして、シェリーを捕える事も出来る」
(…くそッ、一か八かだ！)
鬼が出るか、蛇が出るか。
躊躇う暇も無く、僕は火事場の馬鹿力を発揮して駆け出した。
先程落とした銃に、手を伸ばした。
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想世(プロフ) - みそらーめんさん» コメントありがとうございます。元ネタはとあるボカロ曲ですね。応援もありがたいです、色々と落ち着いたら更新頑張りたいと思います。 (2023年1月22日 9時) (
レス) @page46 id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
みそらーめん - 元ネタの元ネタが人間失格、、、！何となく分かるような、、、？この作品、大好きです。体には気をつけて更新頑張ってください。 (2023年1月22日 8時) (レス) @page47 id: c05dcaa337 (このIDを非表示/違反報告)
想世(プロフ) - 早桃さん» コメントありがとうございます。気に入って頂けたのなら何よりです。これからも更新頑張らせて頂きます。 (2022年12月18日 18時) (レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
早桃 - やばいめっちゃ好き、、、！面白すぎて一気に読んじゃいました！！独特な世界観が個人的にツボです笑 これからも無理せずに更新頑張って下さい！応援してますぅぅぅ！大好き！ (2022年12月18日 17時) (レス) id: f9af42ef58 (このIDを非表示/違反報告)
想世(プロフ) - せいあさん» 再度コメントありがとうございます。自分でも驚きですが、名残惜しくも次作で本編完結となります。どうぞ最後まで楽しんで頂けると幸いです。 (2022年12月1日 21時) (レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：想世 | 作成日時：2022年12月1日 18時
