嘘３４つめ。 ページ37
*
「かっちゃん！！！」
「ああ？」
校門に向かっているかっちゃんを大声で呼び止める。
いつもの僕なら怯んでしまうような顔で睨まれても動じなかった。
「これだけは、君に言わなきゃいけないと思って…！」
母にも言ってない、秘密──
視線が下を向く、喉が震えそうになるのをグッと堪え、僕は話を切り出した。
「人から授かった"個性"なんだ……!
誰からかは絶対言えない!言わない…でも、
コミックみたいな話だけど本当で…!
おまけにまだ、ろくに扱えもしなくて……
全然モノに出来てない状態の"借り物"で……!」
伝えたい事が多すぎて言葉が重なる。
けれども、今更止めるという選択肢など僕の中には存在しない。
「だから…使わず君に勝とうとした!
けど結局勝てなくてソレに頼った!
僕はまだまだで…!!だから──
いつかちゃんと自分のモノにして
"僕の力"で君を超えるよ」
最後の言葉で視線を上げ、かっちゃんの顔を見据えれば今まで見た事が無い様な顔で、彼は僕を見ていた。
そこでハッと自分の述べた発言を脳で反芻する。
………騙してたんじゃないって言いに来たのに何を僕は…！
かっちゃんが僕にフラリと近付くのが見える。
思わず肩がビクリと震えあがってしまった。
「何だそりゃ…?借りモノ…?わけわかんねえ事言って…
これ以上コケにしてどうするつもりだ……なあ!?
だからなんだ!?今日…俺はてめェに負けた!!!
そんだけだろが!そんだけ……」
──声が、震えている。
「氷の奴見てっ!敵わねえんじゃって思っちまった…!!
クソ!!!ポニーテールの奴の言うことに納得しちまった…っ!
自己中女のこと、すげえと認めそうになった…クソが!!!クッソ!!!
なあ!てめェもだ…!デク!!
こっからだ!!俺は…!!こっから…!!いいか!?
俺はここで一番になってやる!!!」
──それは僕が初めて幼馴染の涙を見た瞬間だった。
「俺に勝つなんて二度とねえからな!!クソが!!」
乱雑に頬の水滴を袖で拭いながら去っていくかっちゃんの背中を見る。
緊張が解けて肩の力がふにゃりと緩んだ瞬間、横から爆風が起こり、それに目を丸くすれば──
「今のオールマイト先生。すごい勢いでしたね、イズくん」
「！？」
いつの間にか僕の横にいて微笑む沫嘘さんに僕は飛び上がらずにはいられなかった。
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はむ(プロフ) - 言葉選びが好きです、 (2021年8月26日 0時) (
レス) id: 9bb4746f4d (このIDを非表示/違反報告)
白雨(プロフ) - 莉兎さん» 私の小説で楽しんでいただけて何よりです〜！！更新遅いですがコツコツ頑張っていくのでよろしくお願いします(｀・ω・´) (2018年7月22日 3時) (レス) id: 1bdc6616c8 (このIDを非表示/違反報告)
莉兎 - 凄い続き気になります、、、！めっちゃ楽しい(((o(*ﾟ∀ﾟ*)o)))、、！ (2018年7月10日 22時) (レス) id: 8e6cda3aa7 (このIDを非表示/違反報告)
白雨(プロフ) - 血華さん» わーっ！これからもドキドキできるような小説を書けるように精進します！応援、ありがとうございます〜！ (2018年4月4日 5時) (レス) id: 1bdc6616c8 (このIDを非表示/違反報告)
血華 - 凄く面白かったです！読んでいてドキドキしました！これからも応援してます！ (2018年3月31日 1時) (レス) id: d91252218e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白雨 | 作成日時：2016年8月17日 9時
