十六話 ページ18
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side 紫
俺と上司が仕事の話を始めたら、女将さんもAさんも他の客の対応に行ってしまった。
初めてこの店に来た時、話しにくい事もここでなら話せる、と言われていた。
ここや。仕事の事とかでも女将さんやAさんに普通に話せる内容は話すけど、聞かれたくない話を始めると、ふっと身を引いてくれる。空気を読むのが上手い。
女将さんはこの店を構えて20年ほどだと言っていたから、長年の経験で培ってきたものがあるんやろうけど
Aさんはまだ女将さんの半分も経験がないはず。
基本的に客が話す事が殆どやけど喋るんが下手なんやなくて、かなりの聞き上手。やから客も気持ちよく話せる。
この歳でここまで出来るって凄いな、俺なんかこんなできひん。
なんて思いながら無意識に彼女を見やると、不意に目が合って微笑まれる。その視線はまたすぐほかの客へと移る。
俺は目を離すことができず、心臓の動きが速まるのを感じた。
…上司のせいや。上司がいらん事言うから、変に意識してしまった。
今まで感じてなかったけど、意識して見ているととても良くできた人だとわかる。
会話が上手くて、気が利いて、口調も丁寧で優しく、纏っている空気も柔らかい。声もキンキン響くようなものではなく落ち着いていて聞き取りやすい。誰もが振り向くような美人…ではないけど、着物がよく似合っていて綺麗に笑う。
…俺なんかには、勿体無い人やん。
「紫ノ塚、なに見惚れとんねん」
「…あ、すんません。見惚れるとかそんなん無いですよ、やだなぁ」
「まあまあ、その感じやとAちゃんの魅力にやっと気付いたな？彼氏が居らんのが不思議なくらいやと思わんか」
「まあ…そうですね。でも本当に居らんとは限りませんよ、」
「嘘吐くような子ぉやあらへんやろ。紫ノ塚も悪い気せんのやったらチャンスやと思って行ってみたらどうや」
「はは…考えときますわ」
このままこの話題では居た堪れないと思い、ちょっと一服してきます、と店外の喫煙スペースに逃げた。
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黒月（ﾌﾞﾗｯｸﾑｰﾝ）(プロフ) - 続編ありがとうございます！最初の台詞なんですけど、、、エミさんでは？敬語やし、納得っていうのは前からの知り合いだから、、、と思ったんで。続編も更新がんばれください←（くださいって付いてるから敬語と信じて、、、） (2019年5月27日 23時) (
レス) id: 75155c2af0 (このIDを非表示/違反報告)
yanochin(プロフ) - キョウヤさん» コメントありがとうございます！共感していただけて嬉しいです！頑張ります！ (2019年5月27日 23時) (レス) id: 2c796d6a97 (このIDを非表示/違反報告)
キョウヤ - 主の気持ちなんかちょっとわかる。自分も声低いのちょっとコンプレックスだから。この小説面白いっす!頑張ってください! (2019年5月27日 23時) (レス) id: 665ea8b906 (このIDを非表示/違反報告)
yanochin(プロフ) - HAKU猫の夏さん» コメントありがとうございます！頑張ります！！ (2019年5月27日 20時) (レス) id: 2c796d6a97 (このIDを非表示/違反報告)
HAKU猫の夏(プロフ) - あ。なんか好きっす、頑張れください。 (2019年5月27日 20時) (レス) id: 1e7a204824 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yanochin | 作成日時：2019年5月12日 0時
