十四話 ページ16
､
side 紫
週の始めである月曜、現在の時刻 19:13
年度末を目前に控え、日に日に忙しさも増していく。
今日はまだ早く終わった方かな、なんて考えながら帰り支度をしていると上司から声をかけられる。
「
「課長。お疲れ様です。」
「これからいつもの店行くんやが。一緒にどうや？」
「有り難う御座います！ご一緒させてください」
尊敬する上司に誘われて断わるなんて事するわけない。
これから一ヶ月以上忙しいからな、タイミング逃したらしばらく行けへんで。と言われると昨年の今頃を思い出す。そうや、毎年この時期は毎日死物狂いで仕事をしている。今年この時間で帰れるのは奇跡やな。
上司と二人、会社を出てタクシーに乗る。駅からそう遠くない所に会社はある。
上司の言ういつもの店は駅を越えて反対側。程なくして目的地に到着する。
「こんばんは〜」
「あら、いらっしゃいませ。いつものお席、空いてますよ」
あまり大きくない店内に入ると客が数人。出迎えてくれたのは優しそうな年配のご夫婦と、俺と同年代くらいの女性の従業員。
大通りからは外れた場所にあるここは、客は少ないがアットホームな雰囲気に包まれていてとても居心地が良い。
そして何よりも飯が美味い。最初に上司に連れられて来た時はまだ若かった事もあり、驚いた記憶がある。和食はこんなに美味いものなのかと。
所謂、知る人ぞ知る穴場の小料理屋、ってところやな。
『いらっしゃいませ、鈴木様。本日は紫ノ塚様もいらしてくれたんですね。この時期はお忙しいのにご来店いただいて。』
「Aちゃんひさしぶりやな、一段落ついたからやっと来れたわ。次来れるのは多分4月やから今日は来れない分も食べさせてもらうで〜」
『ふふ、有り難う御座います。ゆっくりしていってくださいね。』
上司は頻繁に来てるみたいだけど、俺は年に数回連れられて来るだけ。
逆に言えばそんな俺の名前も覚えてもらえるくらい、上司は通ってるって事。二度目に来た時にはもう覚えられてた。記憶力良すぎん？と同時に、上司は通い過ぎでは？
なんて事を考えてる俺がここまでで発したの「こんばんは」のみ。まぁ上司がよく喋るから俺喋らんくても問題ない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 793人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
黒月（ﾌﾞﾗｯｸﾑｰﾝ）(プロフ) - 続編ありがとうございます！最初の台詞なんですけど、、、エミさんでは？敬語やし、納得っていうのは前からの知り合いだから、、、と思ったんで。続編も更新がんばれください←（くださいって付いてるから敬語と信じて、、、） (2019年5月27日 23時) (
レス) id: 75155c2af0 (このIDを非表示/違反報告)
yanochin(プロフ) - キョウヤさん» コメントありがとうございます！共感していただけて嬉しいです！頑張ります！ (2019年5月27日 23時) (レス) id: 2c796d6a97 (このIDを非表示/違反報告)
キョウヤ - 主の気持ちなんかちょっとわかる。自分も声低いのちょっとコンプレックスだから。この小説面白いっす!頑張ってください! (2019年5月27日 23時) (レス) id: 665ea8b906 (このIDを非表示/違反報告)
yanochin(プロフ) - HAKU猫の夏さん» コメントありがとうございます！頑張ります！！ (2019年5月27日 20時) (レス) id: 2c796d6a97 (このIDを非表示/違反報告)
HAKU猫の夏(プロフ) - あ。なんか好きっす、頑張れください。 (2019年5月27日 20時) (レス) id: 1e7a204824 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：yanochin | 作成日時：2019年5月12日 0時
