はじまる初恋 (ページ26)

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『ん〜頑張った！！』

下校時刻直前。
外を見るとすっかり日は沈んでいた。

周りに生徒もほとんどいなくなっている。

「帰ろっか。」

『そうだね〜』

ペンと消しゴムをしまいながら今日の晩御飯はなんだろうなんて考える。

「…暗いし送ってくよ。」

『え、いやいや！悪いよ！大丈夫！』

「全然気にしないでよ。」

『でも…』

「じゃあ途中まで。一緒に帰らない？」

『う、うん…』

行こ！と笑う阿部くんに戸惑いつつ隣を歩く。

『なんか、じめじめしてきたね。』

「ほんと。もうすぐ夏だな。Aさんは夏と冬どっちが好き？」

夏と冬…
前までは断然冬だったけど。

先輩に出会えたから…

『夏かな！』

「おっ、意外！なんとなく冬って言うと思った。」

『そう？そう言う阿部くんは？』

「俺は冬かな〜。マフラーとかコートとか冬服のほうが好きでさ。」

『あー、阿部くんは身長高いから長めのコートとか似合いそう！』

「え、そうかな」

同級生だからか
阿部くんだからか。

あんまり男の子の友達がいない私でもすごく話しやすくて盛り上がる。穏やかな気持ちになれる。

井田先輩といるとひたすらドキドキして緊張しちゃうもんなぁ。