はじまる初恋 (ページ22)

今日:7 hit、昨日:13 hit、合計:163,305 hit

. ページ22

『う〜ん』

井田先輩、なんか様子おかしかった？
やっぱ来るべきじゃなかったか。

『気のせいだといいんだけど…』

井田先輩の一挙一動が私の気持ちを乱していく。

あぁ、本当に好きなんだなぁ。

こんなに長い時間一緒にいれることなんてそうそうない。ましてやあんな近い距離で座っている。
今日頑張らないと…

よしっと気合いを入れてトイレを出た。

「あっれ〜」

同じタイミングで隣の男性用トイレから出てきた人。30代だろうか。

私を上から下までじっとり見てくる。

なんか、嫌な感じ。

『なにか？』

「女子高生だねぇ。いいなー！若いって！」

狭い通路を塞がれる。
近づいてきた男性からお酒の臭いが漂っていた。

夕方からこんな酔っ払ってるなんて。

『すみません、戻るので…』

「待って待って！俺3人で来てるからさ〜、こっちの部屋こない？ジュース奢るし！あ、お酒でも良いけど。」

『いらないですし、友達と来てるので。』

「友達も一緒でいいよ！何人？かわいい？」

失礼なことをバンバン言ってくる。
どんどん顔を近づけてきて気持ち悪い。

井田先輩だったら、あんなに嬉しかったのに。

　

『はぁ〜。どいてください。』

「いいから行こうよ。」

『っ！』

どうにか男性の横をすり抜けようとすると腕を掴まれた。意外と力強く掴まれ少し痛い。

これは振り払えそうもないなー
大声出せば店員さん気づいてくれるかな

そう思って息を吸い込んだ時。