はじまる初恋 (ページ19)

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なんか最近いろんなことが起きてる。

井田先輩には覚えてもらえてなかったけど、これからちょっとでも距離が縮められたらいいなぁ。

『はぁ〜』

「ため息ついたら幸せ逃げるぞ。」

『い、井田先輩！？』

「今帰りか？」

自然と話しかけられて驚いた。
こくこく頷くとそうかとだけ言い隣を歩く。

まって、どういう状況。

「見に来てくれてたよな？」

『あ、はい！すみませんおっきい声だして』

「いや。あんまり女子が見に来るってないから他の奴ら喜んでた。」

『そうですか…』

井田先輩は？という言葉を飲み込んだ。

「思い出したんだ。」

『え？』

「具合悪そうにしてた子、だよな？オープンキャンパスの時。」

『は、い…』

「今更だけどあの後大丈夫だった？」

『はい！スポーツドリンクまでもらっちゃって…ほんとにありがとうございました！』

覚えててくれた。

それだけで舞い上がる気持ちを必死に抑えつける。

「それは全然いいんだけど。…律儀だよね、Aさんって。あんな前のことわざわざお礼言いにくるなんて。」

『あ、はは…そうですかね。』

あなたを好きになったからですよ
なんて今は言えなくて笑って誤魔化した。

「じゃあ、俺ここ曲がるから。」

『そうなんですね。それじゃぁ…』

「うん」

『あの』

「ん？」

まだ先輩に何とも思われてないのはわかってる。けど、これだけは伝えたいな。

『部活やってる先輩、かっこよかったです！』

「…ありがとう。」

少し戸惑った様子だったけど、ふんわり笑ってくれた。

これだけでまた心臓が破裂しそうになる。

もう少し。
もう少し勇気が出るようになったら
いつかあなたに好きと伝えたい。