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絶望した。
どうして?今までずっと公立の普通の学校に通ってたのに、急に?
どんなに悩んだって、これじゃ私は同じ高校には進めない。
そう思って諦めたのに…そうか、あの子と同じ学校だったのか。
でも冷静に考えたら分かることだった。だってあの子毎日着物で、髪の毛も白くて明らかに普通じゃなかったし、何か特別な学校に行ったって不思議じゃない。
彼はあの子に合わせたんだ。
「(髪が白じゃなくなってる…それに、着物じゃなくて──学ラン?)」
隠れてるつもりらしいが全く隠れられていない彼の同級生三人の中で、一際目を引く女の子。
「…あの子、ほんとこの世のものじゃないみたい。悔しい、ちょっとは欠点があればいいのに、完璧なんてずるい」
彼の前で、なんでこんなことが口から出てしまったのか分からない。
絶対怒ってるだろうと恐る恐る顔を上げると、目の前の彼は怒ってはいなかった。
それよりも多分、頭の中で何か、誰かのことを思い浮かべてゆっくりと眉を下げた。
「Aは…完璧なんかじゃねぇ、欠点だらけだ。だから俺がいるんだよ」
「…なにそれ」
なにそれ、やっぱりずるいよ
Aちゃんっていうんだね。
名前まで可愛いとか、少しくらい勝ち目残してくれてもよかったじゃん。
踵を返した伏黒君は、もう私のことを振り返ってはくれなかった。
やっぱり、私は彼の笑顔はつくれなかった。
「…いいなぁ、Aちゃんは」
「悪い。待たせた」
「おー普通に可愛い子だったよな」
「クラスでも有名だったらしい。そこまではよく覚えてねぇけど──」
『どうしよう、』
「?どうしたA」
伏黒の言葉を遮るようにそう口にして、横に垂れる長い髪をクシャリと掴んだA。
覗き込んだ伏黒の顔も見ずに、また地面を見つめたまま繰り返す。
『どうしよう、私…なんかやだ』
「何が?」
『いや、なんかここの辺りが……別に何も』
「は?」
ここの辺りが──と胸を押さえたAは、覗き込む伏黒の顔を見ると明らかに無謀な誤魔化しで顔を逸らした。
『虎杖、野薔薇、早く中華行こう』
「え、いいけど…肺大丈夫?」
『大丈夫!もう全然大丈夫!元気爆発してるから!』
「肺?何の話だ。おい、何が嫌だったんだよ、教えてくれ」
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Uo(プロフ) - 無さん» コメントありがとうございます❕イラストを載せるのは緊張するので、そう言っていただけると嬉しいです😖 (6月5日 1時) (レス) id: d9295642a6 (このIDを非表示/違反報告)
無 - 絵うっっま!!!お話の方もサクサク行かせてもらってます! (2022年12月27日 15時) (レス) @page36 id: 97d79e1a3f (このIDを非表示/違反報告)
Uo(プロフ) - 鈴さん» こちらのミスです、すみません😖修正したので、見られるようになったと思います…! (2022年12月20日 15時) (レス) id: 37eb27a647 (このIDを非表示/違反報告)
鈴 - すみません、夢主ちゃんの画像が見れないのですが…… (2022年12月5日 18時) (レス) @page9 id: e67e995d1b (このIDを非表示/違反報告)
Uo(プロフ) - アオちゃんさん» コメントありがとうございます❕そんなにお褒めの言葉を頂けるなんて、感激です…!!😖ご期待に応えられるよう頑張ります! (2022年10月3日 23時) (レス) id: 6bc61cb134 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:とま | 作成日時:2022年9月13日 1時