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小1の時、俺の父親と津美紀の母親、それぞれの片親がくっついて蒸発した。
白髪の怪しい男が言っていた。
"「君のお父さんさ、禪院っていういいとこの呪術師の家系なんだけど、僕が引くレベルのろくでなしでお家出てって君を作ったってわけ」"
"「恵君はさ、君のお父さんが禪院家に対してとっておいた最高のカードだったんだよ。ムカつくでしょ?」"
蒸発資金の謎が解けた。俺は禪院家とやらに売られたらしい。
あぁ、ムカつくよ。アンタのそのデリカシーのなさが特に。
でもそのムカつく男が禪院家の件を帳消しにして、俺が将来呪術師として働くことを担保に俺達2人の高専からの金銭的援助を通してくれた。
"「──それと、Aという子を頼む。歳も近いし、君と一緒で呪いが見える…仲良くしてやってよ」"
今思えば、それが始まりだ。
まあ…アイツと会うきっかけをくれたことには──感謝してもいい。したくないが。
でもAと出会ったことは、俺がその頃呪術師に対して抱く嫌悪に拍車をかけた。
「(…何が呪術師だ、馬鹿馬鹿しい)」
その呪術師なんてものがあるから、Aが泣くんだ。
俺がそんなものになって、誰を助けるってんだよ。
苛立って振り返ると、少し申し訳なさそうに目線を逸らす津美紀。
「何してんのアンタ!!」
「…なんでもない」
「恵君、チャオ♡」
後ろから走り寄ってきた津美紀の友達からのハートをほとんど無視して歩き出すと、津美紀もその友達と逆方向に歩いていった。
いちごミルクを頭からかぶったまま廊下を歩いていると、またクラスの中で男子生徒何人かが集まって話している声が聞こえた。
普通だったら気にもならない。他人が集まって話す内容になんて興味はない。
ただその会話の内容の人物にどこか心当たりがあったから、思わず立ち止まったのだ。
「くぅー、今日も可愛い〜…」
「可愛いってか、美しい」
「前世でさぞかし沢山の人を救ったんだろうなぁ。それか戦争止めたとか」
「何言ってんだお前」
「だってあんな可愛く生まれられるなんて、それしか考えられねーだろ!」
「いや普通に遺伝だろ。両親が美人なんだよ」
「"浦見東の看板娘"っつってな」
やっぱり、そうだ。
"浦見東の看板娘"いつからか誰からかは知らないが、今や全員が彼女をそう呼ぶようになった。
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Uo(プロフ) - 無さん» コメントありがとうございます❕イラストを載せるのは緊張するので、そう言っていただけると嬉しいです😖 (6月5日 1時) (レス) id: d9295642a6 (このIDを非表示/違反報告)
無 - 絵うっっま!!!お話の方もサクサク行かせてもらってます! (2022年12月27日 15時) (レス) @page36 id: 97d79e1a3f (このIDを非表示/違反報告)
Uo(プロフ) - 鈴さん» こちらのミスです、すみません😖修正したので、見られるようになったと思います…! (2022年12月20日 15時) (レス) id: 37eb27a647 (このIDを非表示/違反報告)
鈴 - すみません、夢主ちゃんの画像が見れないのですが…… (2022年12月5日 18時) (レス) @page9 id: e67e995d1b (このIDを非表示/違反報告)
Uo(プロフ) - アオちゃんさん» コメントありがとうございます❕そんなにお褒めの言葉を頂けるなんて、感激です…!!😖ご期待に応えられるよう頑張ります! (2022年10月3日 23時) (レス) id: 6bc61cb134 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:とま | 作成日時:2022年9月13日 1時