・ ページ17
『めぐ〜、痛かったね、よしよし』
「…」
『聞こえてないな…恵ぃ、どうしていつも頭から血出すの?私は心配だよー、』
『…恵くん、恵くん、この状態さ、私真依先輩に殺されちゃうんじゃないかな』
「…」
変わらず目を閉じて無言の伏黒。
『撃ち殺されちゃうよー』なんて言いながら髪を梳かすように頭を撫でる彼女の手が暖かくて、聞こえてる、と言う気にはなれなかった。
喋らない代わりに頭の向きを仰向けに変えると、覗き込むAと目が合う。
「(目綺麗だな…)」
『あっ!!待って!下アングルからは厳しい!!』
「何が?」
『えっ、』
『喜んでいいの?それともいつも下アングルっぽい顔してる??』と困惑するA。
本気で何が厳しいのか分からなかったが、「(なるほどそうか…)」と今更意味がわかった。
別に何とも思わなかったし、むしろそれを気にしてるAが可愛い。いや、言わないが。
「あ"ー、頭痛ぇ…」
『もしかして私の足固い?』
「…いや、そういうわけじゃ、普通に呪霊に吹っ飛ばされた時岩に頭打って…むしろAは──」
──って、何言おうとしてんだ俺は。
9年拗らせたとはいえ今のは流石に気持ち悪過ぎるだろ。
「…悪ィ、調子乗った」
『だめだよ。安静』
いつまで膝枕してもらうつもりだ自重しろよ、と自分を諭して起きあがろうとすると、Aに肩を押されてまた押し戻される。
「いや、おいA、──」
『いいこいいこしてあげるね』
「いや………あぁ、ありがとうな」
さっきは満身創痍状態で倒れ込んだ先に──って感じだったからまだ良かったものの、
まあ今も満身創痍は変わっていないけど意識してしまった前と後じゃ話が違う。
少しも落ち着けない伏黒と呑気にウニ頭をヨシヨシしながら下手くそな子守唄を歌い出したA。
子守唄はやがて『ゾウさんゾウさんお鼻が長いのねー』と童謡になり、今流行りのロックバンドとなり、そしてノリノリの洋楽となった。
ここまでくるともう子守唄ではなく好きな歌を歌ってるだけのAを見上げていると、元気な歌声は段々と小さくなって、止まる。
どうしたのかと目を開いて見ると、笑っていた。
Aは嬉しそうに、でも少し複雑そうに、苦しそうに──笑っていたのだ。
472人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Uo(プロフ) - 無さん» コメントありがとうございます❕イラストを載せるのは緊張するので、そう言っていただけると嬉しいです😖 (6月5日 1時) (レス) id: d9295642a6 (このIDを非表示/違反報告)
無 - 絵うっっま!!!お話の方もサクサク行かせてもらってます! (2022年12月27日 15時) (レス) @page36 id: 97d79e1a3f (このIDを非表示/違反報告)
Uo(プロフ) - 鈴さん» こちらのミスです、すみません😖修正したので、見られるようになったと思います…! (2022年12月20日 15時) (レス) id: 37eb27a647 (このIDを非表示/違反報告)
鈴 - すみません、夢主ちゃんの画像が見れないのですが…… (2022年12月5日 18時) (レス) @page9 id: e67e995d1b (このIDを非表示/違反報告)
Uo(プロフ) - アオちゃんさん» コメントありがとうございます❕そんなにお褒めの言葉を頂けるなんて、感激です…!!😖ご期待に応えられるよう頑張ります! (2022年10月3日 23時) (レス) id: 6bc61cb134 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:とま | 作成日時:2022年9月13日 1時