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なぜか意地を張り出した恵のなかなか厳しい発言にじわじわ笑っていると、「笑ってる場合じゃねえ」と一蹴される。
更に不服そうに顔を歪めた恵はむんずと私の顔を両手で掴むと、一気にグイッと後ろを向かせた。
ゴキっという音。
「つーか、黒髪の直毛と結婚するんだろ。アイツは黒髪だが、直毛じゃない。よく見ろ。頭にでけぇパイナップル付いてんだろ」
『いてて、いた、いたい恵、首が』
ムスッとした顔のまま謝られて顔から手が離れる。
首を擦りながら、そんなことまで覚えてくれていたのか、となんだか感動してしまった。
私の家系は古くから名のある術師の家系だったけど、史上最悪の呪詛師を輩出してしまったことで周りの呪術師から避難されていた時代があった。
この家名を汚す暗黒の歴史を払拭しようと、家の者は皆代々二度と家系から呪詛師を出さないことに尽力した。黒い髪と直毛に拘るのも、そのためだ。
かつての呪詛師の容姿は、家系のみんなが日本人らしい黒髪だったのにも関わらず白髪で、全体的に色素が薄くて、異国風の見た目だった。
不運にもその呪詛師とそっくりの見た目に生まれてしまった、そして更に不運なことに一人娘だった私は、これ以上この見た目を末代に引き継がない為、黒髪直毛と結婚するようにとキツくそれはそれはキツーく言われていたのだ。
『そんなこと、私すっかり忘れてた』
「…割と重要なことだろ」
『そうだけど、…とにかくそういう目で東堂のこと見てなかったなあ』
「……なら、ああいう筋肉野郎が好みなのか」
『全然』
「なんなんだよ」
どこからともなく大量の紙パック牛乳を持って来た東堂は、ドサリと私の足元にそれを置いて何故か満足げな顔をした。
別に何も成し遂げてないし特に良いことをしたわけでもないしなんなら迷惑な方なので、その顔はやめて欲しい。
「ほら、たくさん飲め」
『あぁ……うん、あはは、アリガト』
「礼には及ばん。Aちゃん、交流会でまた会おう。…おいパンダ、乙骨に言っておけ。"お前も出ろ"とな」
「オレパンダ、ニンゲンノコトバワカラナイ」
去っていく、多分野薔薇たちの方へ向かう東堂の背中を見てから視線を落とすと、手元に転がるとても持ちきれない程の牛乳。
嵐のような人だった、
何が起こったのか、よく理解できないけどとりあえず──、
『恵、牛乳好き?いる?』
「…別に好きじゃねぇけど、飲む」
*
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歌詞 - 特急が取り込んでいたのか (3月22日 17時) (レス) @page32 id: 2b3270be69 (このIDを非表示/違反報告)
Uo(プロフ) - るるさん» コメントありがとうございます❕かわいい性格に書けていたならとても嬉しいです😖スタンドバイミー、いつ見ても名作ですよね…!! (6月5日 1時) (レス) id: d9295642a6 (このIDを非表示/違反報告)
るる - まって、、夢主かわいい💕 てか、スタンドバイミー最高ですよね!リバーフェニックス私も好きー!クリスは性格もイケメンだし、、、。 (5月5日 0時) (レス) @page3 id: 7b5dad0b18 (このIDを非表示/違反報告)
とま(プロフ) - †NANA†さん» 詳しく教えて下さり本当にありがとうございます…!!誤字が多くて申し訳ないです😞 (2022年8月14日 20時) (レス) id: f3920fcf38 (このIDを非表示/違反報告)
†NANA†(プロフ) - ページ32と33で、「特級」が「特急」になっています。 (2022年8月13日 16時) (レス) @page35 id: 9dc612bbe9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:とま x他1人 | 作成日時:2022年5月17日 0時