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「A、」
無事両耳にホールを開けて手鏡を見つめるAを呼ぶと、パタパタとなんの疑いもなくやっている。
その両耳についているのはまだ透明なピアスだが、よほど嬉しいのかニマニマと笑みを浮かべているAを見て、伏黒も軽く笑みを零す。
『なあにー?』
「...これ」
「気に入らなかったら、処分してくれていい」
突き出された伏黒の手に提げられた、オシャレにラッピングされた小さな紙袋。
Aは目線を逸らして気恥しげに差し出す伏黒と袋を交互に見て、ゆっくりとそれを受け取った。
『うわあ!ピアス...!!すっごい、可愛い』
中身は、キラリと輝くピアスだった。
小さめの、控えめなデザインが彼らしい。
受け取って箱を開けるまでずっとソワソワしていた伏黒は、箱を開けたAの笑顔を見るなりつられて少しだけ顔を綻ばせた。
『わぁ...、ほんとに素敵、...恵、ほんとに私がもらっちゃっていいの?』
「あぁ、当たり前だ。Aにしか似合わない」
低く、優しい声でそう言うと、伏黒はAの頭の形を確かめるように撫でる。
ピアスを開けると知って、わざわざファーストピアスの記念に選んで買ってくれたのだろうか。
任務終わりにブランドに向かってショーウィンドウを睨みつける恵を想像して、面白くなってしまう。
満足げな彼女の笑顔が、焼き付けられた目から伏黒の中にじんわりと広がって暖かい。
『ねぇ、恵、付けてよ』
「...あぁ、こっちこい」
彼女の耳で微かに存在を主張するピアスが、光を反射させてキラキラと光る。
『どう?』なんて言って振り返る彼女は、間違いなく──、
「──綺麗だ」
体の部分の中で、耳へのキスは誘惑。
ピアスをプレゼントすることには、"いつも見守っている"というメッセージが込められているそうだ。
元は魔除けとして付けられていたピアスは、肌身離さず付けられることから"いつも身近に感じて欲しい"という意味が生まれたらしい。
魔除け、それならきっと彼女にもピッタリだ。
彼女に、この世のできる限りの幸せが降りかかるように。
せめて、呪霊に命を奪われることの無いように。
いつか、そばに居られなくなったとして、
そのピアスを付ける度に、彼女が俺を思い出すように。
*
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歌詞 - 特急が取り込んでいたのか (3月22日 17時) (レス) @page32 id: 2b3270be69 (このIDを非表示/違反報告)
Uo(プロフ) - るるさん» コメントありがとうございます❕かわいい性格に書けていたならとても嬉しいです😖スタンドバイミー、いつ見ても名作ですよね…!! (6月5日 1時) (レス) id: d9295642a6 (このIDを非表示/違反報告)
るる - まって、、夢主かわいい💕 てか、スタンドバイミー最高ですよね!リバーフェニックス私も好きー!クリスは性格もイケメンだし、、、。 (5月5日 0時) (レス) @page3 id: 7b5dad0b18 (このIDを非表示/違反報告)
とま(プロフ) - †NANA†さん» 詳しく教えて下さり本当にありがとうございます…!!誤字が多くて申し訳ないです😞 (2022年8月14日 20時) (レス) id: f3920fcf38 (このIDを非表示/違反報告)
†NANA†(プロフ) - ページ32と33で、「特級」が「特急」になっています。 (2022年8月13日 16時) (レス) @page35 id: 9dc612bbe9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:とま x他1人 | 作成日時:2022年5月17日 0時