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血が出る、出ないとかの問題ではない。
眠っているAに忍び寄って無表情で耳たぶをぶち抜く伏黒を想像して、Aは軽く震え上がった。
『もー、じゃあ他の人に頼むから、いいよ』
記念すべきファーストピアス。
恵じゃないなら、誰に頼もう...
「は、...誰に頼むんだよ」
『んんー、まぁ...五条先生かな。なんかこう、上手そうな感じするし』
ぱぱーっとやってくれそう〜、というAに、伏黒の眉間がピクピクと反応する。
「駄目だ。なんでよりにもよって五条先生なんだよ」
『だって上手そうだし』
「あの人ピアスしてないし、してるところも見たことねぇ。上手い保証もない。そもそも変な風に刺されたら血が出るだろ」
『恵だってピアスしてないじゃん』
「俺はピアスなんて別に興味ねぇんだよ。でも俺は、絶対変な風に開けない」
謎の自信を持って答えた伏黒に、Aがギョッと目を見張る。
一体どこから来た自信...?
確かに中学の頃はグレて不良化してたけど、髪染めたり制服めちゃくちゃに気崩したりしない、なんともクリーンな不良だったというのに。
「ほらA、こっちこい。...まずマーキングするんだろ」
『きゃ!マーキングされちゃう〜!』
「きゃ、じゃねーよ。抉られてぇか」
言われた通りじっとしていると、右耳にゴツゴツした手が添えられる感覚と、耳たぶにペン先を優しめに押されるような圧。
『ふ、はは、!くすぐったい!!恵、それやだくすぐったい!!!』
「オイ、暴れんな...!」
針を刺す位置を決めているらしい。けど、添えられた手が耳に触れるのがどうしてもくすぐったい。
口を両手で抑えて笑いを堪えているAを見て、伏黒も少し笑いながらコツンと頭を小突いた。
「場所、こんなもんか...?」
『おおー!いいですいいです!』
美容師みたいに鏡を向けられて、覗き込むと耳たぶの丁度真ん中に黒のマッキーで付けられた印。
伏黒はテキパキとAの耳たぶを消毒して、タオルに包んだ保冷剤を当て始めている。
保冷剤で痛覚を麻痺させてから穴を開けるらしい。
手際良いな...とAは耳の感覚が無くなっていくのを感じながら呑気に考えたが、伏黒の手際の良さは当然のことだ。
伏黒はAが数週間前にピアスを開けたいと言い出した時から、セルフでピアスを開ける方法を調べあげていた。
そんなことは露ほども知らないAは、その手際の良さに感嘆するばかりだ。
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歌詞 - 特急が取り込んでいたのか (3月22日 17時) (レス) @page32 id: 2b3270be69 (このIDを非表示/違反報告)
Uo(プロフ) - るるさん» コメントありがとうございます❕かわいい性格に書けていたならとても嬉しいです😖スタンドバイミー、いつ見ても名作ですよね…!! (6月5日 1時) (レス) id: d9295642a6 (このIDを非表示/違反報告)
るる - まって、、夢主かわいい💕 てか、スタンドバイミー最高ですよね!リバーフェニックス私も好きー!クリスは性格もイケメンだし、、、。 (5月5日 0時) (レス) @page3 id: 7b5dad0b18 (このIDを非表示/違反報告)
とま(プロフ) - †NANA†さん» 詳しく教えて下さり本当にありがとうございます…!!誤字が多くて申し訳ないです😞 (2022年8月14日 20時) (レス) id: f3920fcf38 (このIDを非表示/違反報告)
†NANA†(プロフ) - ページ32と33で、「特級」が「特急」になっています。 (2022年8月13日 16時) (レス) @page35 id: 9dc612bbe9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:とま x他1人 | 作成日時:2022年5月17日 0時