【呪術廻戦】呪われないでね

両面宿儺 ページ3

✳︎






「アハハ。でもおかげで回収も楽でしょ？」







相手は明らかにイラついているというのに、こちらの電話の主は笑いも混じえてなんとも軽薄に返した。









─両面宿儺─








『せんせー、次これ見よ』



「──あーうん、ちょっと待ってて。…え。またスタンドバイミー？好きだねぇ」



『不朽の名作!…ていうか、誰との電話？』



「ひとり寂しく仙台出張中の恵──え？──マジで？ウケるね(笑)夜のお散歩かなあ」







電話とこっちを行き来させるのはなんだか可哀想だし、長くなりそうだから勝手にDVDをセットして、テレビの前のソファに体育座りで腰かけた。




膝立てるとかお行儀悪いって言われそうだけど、この座り方がいいのだ。なんなら膝に顎も乗せちゃうもんね。




仙台かぁ、仙台って何があるっけ……牛タン、ずんだ餅…ずんだ餅いいな。





そんなことを思っている間に、目の前のテレビからはもう哀愁漂うアメリカンカントリーな曲が流れ始めている。








「──それ、回収するまで帰って来ちゃ駄目だから」


『始まっちゃってるよ!はやく、はやく』


「はいはい。あ、まぁたお行儀悪い座り方!」







「Aちゃん、めっ!!」と気色悪い叱り方をしてくる先生にこちらも必殺てへぺろウィンクをお見舞いした。



変な目隠し取ればイケメンなのになあ。







『伏黒、なんて？』



「高校に置いてた特級呪物が無くなっちゃったらしいよ。お、やっぱクリスかっこいいな、まぁ僕の方がグッドルッキングガイだけど」


『…ん？』


「ん？──だから、高校に置いてあった」







『特級呪物が無くなった？!えぇー!そりゃ今頃なんてこったいだね、伏黒』


「ねー!まぁ恵なら何とかするでしょ」





相変わらず軽く笑いながらポテチを勧めてくる先生に『コンソメ派なんだよね』と言いながら一気に5枚くらい食べてやった。




久しぶりに食べたら、のり塩もなかなかおいしい。








『先生、こんなとこで映画見て仕事サボっていいの？』




「誘ったくせに言う？いいのいいの、それに今2年全員出払ってて恵も居ないんじゃ、高専にA一人残す訳にもいかないでしょ？」




『きゃー!!かっくいー!これで性格が排水管ごと下水煮詰めたみたいなクズじゃなきゃなあ』

　

「言い過ぎじゃない？？」









横で喚いてる先生をフル無視して、とりあえず"伏黒恵"のライントークに『"ずんだ餅"』とだけ送っておいた。





✳︎

・→←設定

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す