45話 ページ47
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初めての呪文学の授業中。
一年生は魔法使いの最も基本な技術であるという浮遊の術を練習していた。教室の至る所で生徒たちが浮遊の呪文を唱える声が聞こえる。
Aはハリーとペアだ。
ハリーは羽に狙いを定めて呪文を唱えるが、羽は机の上で揺れるばかりでなかなか上がらない。
向こうの方でペアになったロンとハーマイオニーは、遠目から見てもなんだか雰囲気が悪そうだ。
上手くいかないハリーに、難しいよねと励ましの声をかけた。
「A、できる？」
そう聞かれたAは、待ってましたとばかりにニヨニヨと笑った。
『ハリー。私、家で呪文を一番たくさん練習したのよ!』
そうなんだ!とハリーが表情を輝かせると、Aの自慢げな顔がちょっと緊張した面持ちに変わる。
『ちゃんと、見ててよ？』
コホンとわざとらしく喉を鳴らして、Aが杖をゆっくりと振った。
『
決して大きくないのによく通るAの声が騒がしかった教室の隅まで響いて、練習していた生徒がAの羽に注目する。
ゆっくり、ふよふよと羽が浮き上がった。
「ミス・シャフィックがやりました!素晴らしい!!」
生徒の歓声と、フリットウィック先生の声に、すぐに調子にのせられてしまうのが、Aの悪い所だ。
Aは得意げになって気が緩んだ。
途端、高く浮いていた羽がふわふわと落下して、あろうことか前に座っていたドラコの頭に着地した。
今日も髪一本残らずオールバックにまとまった彼の髪の毛に真っ白い羽が乗っかったまま、まるで時が止まってしまったようだ。
静まり返った教室の中で、誰かが堪えきれずにブッと吹き出すと封を切ったように騒がしくなった。
『私、もしかして失敗しちゃった？』
自分が招いてしまった教室の様子にAが眉を下げる。
「そんなことない、大成功さ!すごいや!」
Aを慰めるように今度はハリーがフォローした。
ハリーの優しさにAが感動していると、向こうからハーマイオニーの凛とはっきりした声が聞こえてきた。
「そんなに振り回したら危ないでしょ!」
どうやらロンが杖を振り回したらしい。
注意されたロンは、明らかに不満げだが、ハーマイオニーは一切の容赦もなく続ける。
「それに、発音も違ってる。"ウィンガーディアム・レビオーサ"よ。あなたのはレビオサー」
「そんなに言うなら自分がやってみろよ。ほら、どうぞ？」
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作者名：とま | 作成日時：2022年1月31日 23時
