【ハリーポッター】魔女が紡ぐ (ページ46)

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44話ページ46

「こっちに行こう!」

「階段の気が変わらないうちにね」

階段の先の扉を開けたロンとハリーに続いて中に入ると、そこには薄暗くて不気味な雰囲気が漂っていた。

「なんか、ここに居るのやばい気がしない？」

Aがそのやばい所をうろつきたがると思ったのか、ロンはAのローブをしっかりと握っている。流石にそこまでじゃない!と言いたい気持ちをグッと堪える。

「ここは入っちゃいけない所よ。三階だもの!立ち入り禁止よ!!」

にゃあ、という鳴き声に四人が振り向く。目が真っ赤な栗色の毛の猫。Aが猫を指さして、げ、と声を上げた。

『フィルチの猫!!』

「逃げろ!!」

猫が居るということは、すぐにフィルチも来るということだ。

不気味だからもう戻ろうと思っていたのに、四人は一斉に出口と逆方向に走り出した。

「アロホモラ!」

ハーマイオニーが杖を出して唱えて鍵がかかっていたはずの扉が開くと、四人は考える間もなく駆け込むように部屋に入った。

「"アロホモラ"って？」

『基本呪文集第7章"扉よ開け"の呪文……猫、行っちゃった』

「閉まってると思ったんだな」

「閉まってたわ」

ハーマイオニーが呆れたように言った。確かに閉まってた。ハーマイオニーが魔法で開けたのだ。

「.....これがいるからだ」

ハリーの視線の先には、大きくて、黒い、頭が三つの犬。

「「「『ああああーーーーー!!!!!!』」」」

黒い怪物の恐ろしい唸り声に負けない四人分の大絶叫が響き渡った。

ハリーがAの手を引っ張り、その後にロンとハーマイオニーも一目散に部屋を出てドアを閉めると、四人は逃げ出すように慌てて三階から降りた。

「一体何考えてんだよ？!学校にあんな化け物閉じ込めとくなんて!!」

「どこに目を付けてるのよ!!怪物の足元、見なかった？!」

「足なんて見てる暇ないよ!頭見るので精一杯さ!!君こそ気が付かなかったの？!頭が三つ!!」

トントンと肩を叩かれロンが振り向く。

『仕掛け扉だったわ』

ロンとハーマイオニーの言い合いを黙ってハリーと聞いていたAが言った。

「そうよ!足元は、仕掛け扉だったわ!何かを守っているのよ」

「何かを守ってる？」

黙っていたハリーも聞き返した。

「その通りよ。じゃあ、失礼していいかしら、もう寝るわ。あなた達に付き合ってたら、命を落としかねないもの。もっと悪くすれば、退学ね」

『ハリー、ロンおやすみなさい』

扉がバタンと閉まる。

「おやすみA」

「……死ぬより退学になる方が悪いのかよ」