40話 ページ42
ハーマイオニーの肘が左から脇腹に直撃して、左を見ると恐ろしい顔と目が合ってギョッとする。
「ハリーに前を向かせて!」
『あ、うん……ハリー、ハーリー!』
私達が小声でハリーを呼ぶと、ハリーが顔を上げて目が合った。
私が視線をスネイプの方に向けると、ハリーはやっと自分のことだと分かったようだ。
「ミスター・ポッター、その名も高きミスター・ポッター──アスフォデルの球根の粉末に煎じたニガヨモギを加えると何になる？」
左には、勢いよく挙手してもはや立ち上がりそうなハーマイオニー。右にはなぜか集中攻撃を受けて黙り込むハリー。
アスフォデルの球根の粉末に煎じたニガヨモギ──。Aは頭の中で思い浮かべて、記憶を辿った。
昔何かで読んだことがある。スネイプの問いの答えは、"生ける屍の水薬"だ。でもそんなことより、一言言わせてほしい。
『先生!ミスター・ポッターは先生の言葉をノートに書いてただけで、自信過剰だなんて──』
胸を張って主張するAに、騒いたり笑いを堪える生徒達。スネイプのこめかみがピクピクと動く。
さっきまで手を挙げていたハーマイオニーの手はいつの間にか降りていて、またもやAの脇腹に直撃し、最後まで喋れなかった。
「なんでもないそうです。先生」
ハーマイオニーが言った。
＊
次の授業に移動する三人が並んで歩いている。話題は、もちろんさっきの魔法薬学だ。
『ねえハリー、あの先生に何かした？』
「してないよ……会ったのは入学式以来さ」
「気にしない方がいいよ。スリザリンと合同なのは今のところ魔法薬学だけだし」
ロンが言うと、いつの間にか横に来ていたハーマイオニーがはっきりと言った。
「あなた、談話室の掲示板をちゃんと見た？次の飛行訓練も、グリフィンドールとスリザリンの合同よ」
「……最悪だ」
「ああ、最も悪い。最悪さ」
『言い過ぎじゃない？』
ハーマイオニーの一言を聞いてからあからさまに落ち込む二人。飛行訓練のため外に出ると、空は憎たらしい程晴天だ。
いっそ雨でも降ってくれれば、スリザリンとの合同授業はないのに……と零すロン。
『箒に乗るの楽しみにしてたじゃない』
「そうだけど……それとこれとは別だよ。A、箒に乗ってもはしゃぐなよ。落っこちたら怪我して痛いんだから」
『はしゃがないし、落ちないよ!!』
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作者名：とま | 作成日時：2022年1月31日 23時
