24話 ページ26
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ハリーは真っ白な梟に"ヘドウィグ"と名前をつけた。
入学祝いも兼ねてハグリッドが買ってくれたということで、ハリーが入学前に読んだ"中世の魔女"の名前からとったのだ。
ヘドウィグの籠を大事に抱えながら、ハリーのその顔はどこか考え込んでいる。
新学期になる為の買い物を全て終えた二人は、もれ鍋に戻って食事をしているところだった。
魔法界で初めての食事なのに、ハリーは自分がこの世界でこんなにも有名なこと、誰も名前を教えてはくれないが、その誰かが自分の両親を殺したということが気になって食べ物が喉を通らない。
ハグリッドがそんなハリーを察して言った。
「いいか、肝に銘じておけ。魔法使いってのはな、良い奴ばかりとは限らねぇ。悪い奴もいる。昔、ある魔法使いが悪の道に走ってな……そいつの名はヴォ──」
言いかけて、止まる。
あぁ、名前が聞きたいのに...とハリーはむず痒いような気持ちになる。
「紙に書いたら？」
「綴りがわからん」
がっくりと肩を落とす。
誕生日ケーキに書かれていたハッピーバースデーの文字も、綴りの間違いがあったことを思い出した。ダドリーに食べられてしまったけれど。
「んん"っ……言うぞ───……ヴォルデモート」
「ヴォルデモート？」
大きめの声で復唱したハリーをシッ！とハグリッドが注意して、ハリーが周りを見回した。
誰にも聞かれていない。はずだ。少なくとも視線は感じない。
しかし、そんなに精神を研ぎ澄ましてまで名前を言ってはいけない人物とは一体何をしたらそうなるのか。ちょっとやそっと犯罪じゃ、こうはならない。
「暗黒の時代が、あったんだ」
「奴が魔法使い達を暗黒の道に引き摺りこんだ。立ち向かった者は皆殺された。お前の両親も戦ったが、奴に命を狙われて助かった者はおらん───ただひとり、お前さんを除いてはな」
「僕？ヴォルデモートが狙った？……僕を？」
怪訝な顔をしてハリーがハグリッドに聞いた。
「ああ、その額の傷はただの切り傷じゃねえ。ハリー、それは呪いをかけられてできる傷だ。邪悪な呪いをな」
「どうなったの？ヴォル……例のあの人は」
「死んだって聞くが、とんでもねぇ。奴は今も何処かで生きている。だが、これだけは言える。お前さんの何かが奴を追い払ったんだ。だから魔法族で、お前さんの名前を知らない者はおらん──"生き残った男の子"だからな」
きっとこれは、喜ぶべきことなんだろう。
しかしその話を聞いたあとも、ハリーの顔は浮かないままだった。
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作者名：とま | 作成日時：2022年1月31日 23時
