23話 ページ25
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グリンゴッツから出て、最後の買い物である杖を買う為ハリーは【オリバンダーの杖屋】に一人で向かっていた。
ハグリッドはなにやら用事があるようだ。店に入ると、そこは随分薄暗かった。
「あのー.......こんにちは」
恐る恐る挨拶をしてみると、奥から白髪のおじいさんがハシゴに乗ったまま現れた。
スライド式とは、随分と愉快な登場だ。
「いつ会えるのかと楽しみにしてましたよ、ポッターさん。貴方のお父さんとお母さんが最初に杖を買って言ったのが、つい昨日のことのようじゃ」
お父さんとお母さんも、ここで杖を買ったんだ。
その言葉に、自分の両親も、そして自分も本当に魔法使いなんだという実際がじわじわと湧いてきた。
「これはどうかな？」
オリバンダーが持ってきた杖を、ハリーが恐る恐る杖を受け取る。
「ほら、振ってみなさい」
促され、杖を降ってみると途端、バコンバコン!と部屋の引き出しが飛び出て書類が舞い上がる。
これはまずい、と直感的に感じハリーはすぐに杖を返した。
店内はかなり散らかったのに、「合わんようじゃな」と平然と言ったオリバンダーは何か思いついたような顔をすると奥に入っていって、しばらくすると一本の杖を持って出てきた。
その杖を受け取った瞬間、ハリーの周りの空気が揺れた。
さっきの杖とは全く違う。この杖だ、と何かに言われているような気がした。
自分の杖を見つけた感覚に嬉しくなって顔を上げると、オリバンダーの顔はハリーとは逆にしかめられていた。
「わしは売った杖は全て覚えとる。この杖に使われている不死鳥の尾羽、それを使って作られた杖がもう一つある……この世に、もう一本だけじゃ」
「……」
「運命とは不思議じゃ、貴方がこの杖を持つとは。兄弟羽の杖が、その傷を負わせたのに」
「……その杖の持ち主は誰ですか？」
「その名は口に出せん。杖は持ち主の魔法使いを選ぶ。間違いなく貴方は、何か偉大なことを成し遂げるだろう。名前を言ってはいけないあの人も、偉大なことをした。恐ろしい.....だか、偉大なことじゃ」
恐ろしい、けれど偉大なこと。それがどんなことなのか、ハリーには分からなかった。
その人と同じ杖をハリーが持つということが、どれほど恐ろしいことなのかも。
ドンドンとドアを叩く音がした。
振り向くと、ハグリッドが真っ白な梟のいる籠を持っている。
「ハリー、ハッピーバースデー!」
その梟の真っ白な姿は、ハリーが忘れられない彼女をどことなく連想させた。
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作者名：とま | 作成日時：2022年1月31日 23時
