16話 ページ18
＊
「なんだって？」
聞き違いかと、ハリーが聞き返す。
ハグリッドはもう一度言った。
「魔法使いだ」
「しかも凄腕になれる。訓練さえ受けりゃ」
「まさか、何かの間違いだよ。僕が魔法使いなわけないもの」
「お前が怒ったときや怖かったとき、何かの不思議なことが起きなかったか？」
ハリーの脳内に、ついこの前の不思議な蛇の出来事が浮かんだ。
それ以外にも昔から、ハリーには不思議な事が度々起こった。その度ダーズリー達からきついお仕置があったから思い出したくはなかったけど、思い返すと不思議なことばかりだった。
ハリーがハグリッドから手紙を受け取る。
【ポッター殿
ホグワーツ魔法魔術学校への入学を許可されたことをお知らせします。】
ホグワーツ──そこで両親が学んだ──？魔法魔術学校──？？
「そんな馬鹿げた所には行かせんぞ!この子を引き取ったときに、そう誓ったんだ!!」
今まで一言も喋らなかったバーノンおじさんが声を荒げた。
しかし負けずにハリーも声を張る。大声でおじさんには向かったことなんて無かったのに、言葉は勝手に喉を通過していた。
「知ってたの？知ってて何も教えてくれなかったの!？」
「知ってたわ。お前もそうだって。だって、ご立派な私の姉がそうだったもの。姉さんにその手紙がきたとき、うちの親ときたら大喜び」
素敵だわ。というペチュニアは言葉と裏腹に嫌味な顔だ。
ペチュニアおばさんの口から一言零れると、大きく息を吸ったあと何年も我慢していたものを吐き出すように一気に喋り始めた。
「でも私だけは姉さんの正体を見抜いてたけど。化け物よ!それからあのポッター、あの男と結婚してお前が生まれたのよ。だからお前はまともじゃないの」
「……」
「親とおんなじ。挙句の果てに姉さんは吹っ飛んで死んでしまって、お前がうちにやってきた。」
「"吹っ飛んだ"って？でも交通事故で死んだって言ったじゃないか!!」
「交通事故？!」
今度はハグリッドが眉を吊り上げる。
「そんなんでリリーとジェームズが死んだって？!」
「そうでも言わなきゃ……」
「よくもそんな!何たる侮辱!!何たる恥!!魔法界の子供は一人残らずハリーの名前を知ってるというのに、ハリー・ポッター自身が自分のことを知らんとは!!」
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作者名：とま | 作成日時：2022年1月31日 23時
