13話 ページ15
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「日曜日はいい日だ。1週間で1番いい日だ。なぜだ？ダドリー」
「郵便の配達が、ないから」
ハリーが答えた。ダドリーに嫌味な返答をされるよりマシだからだ。
例え今日が日曜日じゃなくたって、バーノンおじさんはわざわざ一日会社を休んで家の郵便受けに釘を打ったのだから、手紙なんか来ないよ。
それを口に出すほど、ハリーは馬鹿ではない。
「その通りだハリー!日曜日に手紙は来ないぞ!そうだ、今日は手紙なんぞ見なくて済む!一通もな!!」
そうバーノンが嫌になるくらい嬉しそうに豪語しているとき、ハリーは窓の外の空を飛ぶ影を見た。
──梟だ。
おかしい。普通、昼に梟は飛ばない。
ハリーが不思議に思ってそっと窓のカーテンを少しだけめくって外を見ると、ギョッと目を見張った。家の周りにはこれでもかと梟が止まっていた。
5羽や6羽なんてもんじゃない、ざっと20羽はいる梟が、ぐるりとダーズリー家を囲んでいたのだ。
このただ事じゃない事態になぜかハリー以外誰も気づかない。
街の住人も、この家の中の誰も。
「今日だけは、間違っても手紙なんか一通も……」
次の瞬間。
家の中で竜巻が起きたかと思うような風と共に、暖炉から大量の手紙がバラバラと舞った。
突如起こったまるで魔法のようなその出来事に、ダドリー達は飛び上がった。
無限に湧き出る手紙にパニック状態のダーズリー達。その隙にハリーは舞い上がる手紙の中から一通掴み、読もうとするとバーノンに見つかって追いかけっこが始まった。
「寄越せ!ハリー!!手紙を寄越せ!!」
「離して!!」
撤回。追いかけっこなんてそんな可愛いものではなかった。
結局ハリーが捕まって手紙を読むことはできなかった。
あの大勢の梟が僕にしか見えなかったのなら、この手紙はきっと僕宛ての手紙なはずなのに。
もしかしたら──もしかしたら、Aかもしれない。
彼女はあの日突如としてブランコに現れた。音も気配もなく。まるで魔法みたいに。
暖炉から舞い込んできた手紙にも、なぜかAに似た不思議な雰囲気を感じたのだ。
それなら尚更、手紙を読まないわけにはいかない。
「もうたくさんだ!!!家を離れるぞ!!」
ハリーを捕まえながら、バーノンが言い放った。
手紙が嫌だから家を離れる、なんて。バーノンおじさんは本格的におかしくなってしまったんじゃないだろうか。
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作者名：とま | 作成日時：2022年1月31日 23時
