検索窓
今日:86 hit、昨日:121 hit、合計:759,332 hit

107 ページ11

「Aさん、足怪我してるけど平気なの?」




コナンくんに心配そうに尋ねられる。


私はへらりと笑って大丈夫だよと返事をした。


実際、少し掠っただけだから傷は浅い。




それよりも。




「コナンくん、安室さんも、なんでここに?それにどうして私の名前を…」




冷静になって考えてみれば、今の私はウィッグを脱ぎ捨て篠崎Aの顔ではなくなっている。


それでも迷いなく言い当てられたから少々驚いたのだが…




私の問いかけに、コナンくんは探偵の顔をして笑う。




「ああ…篠崎っていう名字と、メルローの両親の名字の関連が分かったからね。」




名字?


関連?




そういえば両親は、話し合って【篠崎】という名字に決めたんだっけ。


何故エミリア・Z・ナッシュと沖井大和から【篠崎】という単語が生まれたのか、気にはなっていたのだが。



「Aさんのお母さん、エミリア・Z・ナッシュっていうんでしょ?それに大和さんの旧姓は沖井なんだよね。」

「う、うん。なんでそれ……」

「安室さんが突き止めたんだ。」




どうやって調べるんだろうか、そんな個人情報…


私が安室さんに視線を向けると、彼はひとつ咳払いをしてコナンくんに話の続きを促した。




「……それでね、ふと思いついたんだ。もしかしてこれはアナグラムなんじゃないかって。」




アナグラム。


ある単語を構成する文字を入れ替え、組み合わせ直すことによって、全く別の意味の単語を生み出すというものだ。




「ナッシュの綴りは【Nash】、沖井は【Okii】。この二つと母親のミドルネームの【Z】を分解し、組み合わせ直すと……」




なるほど、【Shinozaki(しのざき)】になる訳か。


凄い。実子より先に名字の成り立ちを当ててしまうとは。




そうして【メルロー=篠崎A】という事実にたどり着いた二人は、私の父に協力を仰ぎ現在位置を特定した後、こちらに駆けつけてくれたらしい。


ちなみにあの奇跡の瞬間を生み出したミラクルなゴミ箱は、コナンくんが組織の連中の背後からシュートしてくれたようだ。


キック力増強シューズですね分かります。




「助けに来てくれてありがとう。もう少しで死ぬところだった。」




私が頭を下げると、コナンくんはニッと笑った。


それに微笑み返してから安室さんにもお礼を言おうと顔を上げる。




安室さんはルームミラー越しに、物言いたげな顔で私を見ていた。




……何だろうか?

108→←106



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (2518 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
2973人がお気に入り
設定タグ:名探偵コナン , 安室透 , 転生
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:しま | 作成日時:2018年5月8日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。