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「Aさん、足怪我してるけど平気なの?」
コナンくんに心配そうに尋ねられる。
私はへらりと笑って大丈夫だよと返事をした。
実際、少し掠っただけだから傷は浅い。
それよりも。
「コナンくん、安室さんも、なんでここに?それにどうして私の名前を…」
冷静になって考えてみれば、今の私はウィッグを脱ぎ捨て篠崎Aの顔ではなくなっている。
それでも迷いなく言い当てられたから少々驚いたのだが…
私の問いかけに、コナンくんは探偵の顔をして笑う。
「ああ…篠崎っていう名字と、メルローの両親の名字の関連が分かったからね。」
名字?
関連?
そういえば両親は、話し合って【篠崎】という名字に決めたんだっけ。
何故エミリア・Z・ナッシュと沖井大和から【篠崎】という単語が生まれたのか、気にはなっていたのだが。
「Aさんのお母さん、エミリア・Z・ナッシュっていうんでしょ?それに大和さんの旧姓は沖井なんだよね。」
「う、うん。なんでそれ……」
「安室さんが突き止めたんだ。」
どうやって調べるんだろうか、そんな個人情報…
私が安室さんに視線を向けると、彼はひとつ咳払いをしてコナンくんに話の続きを促した。
「……それでね、ふと思いついたんだ。もしかしてこれはアナグラムなんじゃないかって。」
アナグラム。
ある単語を構成する文字を入れ替え、組み合わせ直すことによって、全く別の意味の単語を生み出すというものだ。
「ナッシュの綴りは【Nash】、沖井は【Okii】。この二つと母親のミドルネームの【Z】を分解し、組み合わせ直すと……」
なるほど、【
凄い。実子より先に名字の成り立ちを当ててしまうとは。
そうして【メルロー=篠崎A】という事実にたどり着いた二人は、私の父に協力を仰ぎ現在位置を特定した後、こちらに駆けつけてくれたらしい。
ちなみにあの奇跡の瞬間を生み出したミラクルなゴミ箱は、コナンくんが組織の連中の背後からシュートしてくれたようだ。
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「助けに来てくれてありがとう。もう少しで死ぬところだった。」
私が頭を下げると、コナンくんはニッと笑った。
それに微笑み返してから安室さんにもお礼を言おうと顔を上げる。
安室さんはルームミラー越しに、物言いたげな顔で私を見ていた。
……何だろうか?
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作者名:しま | 作成日時:2018年5月8日 23時