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(コナン視点)





「詳しい話を聞かせてくれる?」




人が出払ったのを見計らってから安室さんに問いかけた。


ちなみに梓さんはスーパーへ備品の買い足し、蘭や園子は帰宅済みである。




安室さんは「せっかちだな」と笑ってからカウンター越しに話し始めた。




「実は例の沈没事件のとき、ベルモットのことは君も気づいたかもしれないけど、その他にも組織の幹部が港に来ていたようでね。」

「そ、そんなにいっぱい来てたの!?」

「それだけメルローと彼女の持つ情報は、組織にとって脅威と見なされていたんだよ。」




安室さんは食器を拭きながら話を進める。




「その幹部は、船が爆発を始めてから十数分後に港に着いたらしいんだけど…」

「十数分後っていうと…乗客全員が救護ボートに乗り終えたかどうか、ってところだね。」

「ああ。そのときに妙な物を見つけたらしいんだ。」




妙な物?


俺がオウム返しをすると、安室さんはひとつ頷いて答えをくれた。




それは、ジェットスキー。


しかも沈んだ豪華客船が掲げていたシンボルマークと、同様のマークが刻まれた代物だったようだ。




「そんな物が港に乗り捨てられていたことに疑念を抱いた幹部が指紋を照合したところ、メルローの指紋と合致したんだ。」

「じゃあ!記憶媒体も……」

「ああ、ベルモットは船の部屋には無かったと言っていたし、間違いなくメルローが今も変わらず所持している。」




俺は安堵の息を漏らして脱力した。




メルローは生きている。


それならば、Xデーまで残り三日。


まだ組織壊滅の目は残っているということだ。




安室さんも最近までの不安定さが嘘のような回復ぶりである。


俺は思わず軽口を叩いた。




「安室さんて、本当にメルローのこと大好きなんだね。」

「え?いきなりなんだい?」

「いや、分かりやすいなって…」




パチパチと目を瞬かせる安室さんは、特に照れたり恥じ入ったりする様子はない。


なんだ、無反応か。


つまんねーのと口をすぼめる俺に、安室さんは「そうかなあ」と呟いた。うん、分かりやすいよ。




「じゃあなんで彼女には伝わらないんだと思う?」




え。


予想外の返しにぽかんと口を開ける俺。


安室さんは難しい顔をして、俺の返答を待っていた。




「…僕、子供だから分からないよ。」




小学一年生にそんなこと聞くか?普通…


俺はこっそりと乾いた笑いを漏らした。

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作者名:しま | 作成日時:2018年4月29日 21時

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