爆裂ワガママお嬢様がすべてを思い出したら (ページ29)

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米花公園のベンチにて。

私は金髪のウィッグをさらさらと風になびかせながら、青い空に向かって人知れず呟く。

「いやあ……死ぬところでしたなあ……」

・

あ…ありのまま三日前に起こったことを話すぜ！

『自室の扉を開けたら自分の部屋が爆発した』

な…何を言っているのか分からないと思うが私も何が起こったのか分からなかった…

ただ確実に言えるのは、私がコナンファンでなければ死んでいただろうということだ。

ことの詳細はこうである。

三日前の豪華客船にて。

私は部屋に入ろうとドアノブに手をかけたとき、妙な引っ掛かり(物理)を覚えた。

いつもならスルッと滑らかに動くはずのドアノブが、一瞬何かに引っ掛かるような感覚を覚えたのである。

私がコナンファンでなければ、そのような一瞬の違和感など「気のせいか」で済ませそのまま扉をオープンしたことだろう。

されど私はコナンファン。

コナンワールドでは一瞬の違和感を無視したら後で大抵とんでもないことになる。

そんなことは百も承知なのである。

用心深い私、もといビビりまくった私は(たかだか部屋の扉を開けるために)万全を期した。

扉に何かトラップがあるとしたら、それが起動するのはおそらく扉オープンと同時かその直後。

そのため、トラップ設置済みの恐れがある扉を至近距離で開けるなんて蛮勇みたいな行動、私なんぞが取ることは出来なかったのである。

私は長い長い紐を用意し、それを自室の扉のドアノブに括りつけた。

外れないよう固定してからゆっくりゆっくり後ずさる。

どんどん後ずさると階段が見えてきたので、下に降りる方の階段を選んでさらに後ずさる。

階段を下る途中で、糸がピンと張った。

糸の長さ的に限界がきたらしい。

私はごくりと生唾を飲み、汗ばむ手でドアノブに繋がる紐を握りしめる。

これ第三者視点で見たらだいぶ不審者だな私…

…いや、背に腹はかえられぬ。

この際だ。はっきり言おう。

ここは気を抜けば死ぬデストラップ都市・米花町から出航した豪華客船の中。

加えてあの鈴木財閥が造船段階で関与した船なのだ。

そんな大層な付加価値を持つ船が……

––––––爆発しないわけ、ないのである。

そんな悲しい自信とともに勢いよく紐を引っ張った私は、遠くから自室の扉を開けることに成功した。

そして–––––期待を裏切ることなく、部屋は爆発四散したのである。