63 ページ16
安室さんが適当なことを言ったせいで、殺人があった後だというのに私は女子高生二人に質問攻めにされていた。
私の名前とか、安室さんと出会ったのはいつなのかとか、安室さんのことをどう思っているかとか。
名前だけは名乗らざるを得なかったが、その他の質問は全て曖昧に流しておいた。
実際最後の質問とかは「好きが溢れてる」でファイナルアンサーなのだが、佐藤千佳子としてはノーコメントを貫かなければならない。
何とも生きづらい身の上だ。
恋バナもろくに出来ないとは。
そんな私の煮え切らない態度に焦れたのか、園子様が私にぐっと顔を近づけてこそりと言う。
「安室さんポアロでとっても人気なんですよ!?彼目当ての女子高生客とかいっぱい居るし…うかうかしてると取られちゃいますよ!」
「へ、へえ…」
そりゃそうだ!
私が行くときに限って安室さん絶対にポアロにいないからそういう場面見れなかったけど、やっぱりモテてんだな!
……本当になんで私ポアロで働いてる安室さんの姿をいまだに拝めていないんだろうか……
前世の記憶取り戻してから二、三ヶ月経つのに…
思わぬところで心を抉られる羽目になり、若干気落ちした。
・
その後も女子トークは続いたが、最終的には「安室さんの気持ちに正面から向き合ってあげてください」とのお言葉を賜った。
どうしてそこまで、と尋ねると、二人は顔を見合わせてから少しだけ話してくれた。
いわく、「安室さんは二ヶ月ほど前まで超面倒くさい彼女に振り回されていたので、心に疲労が溜まっていると思われる」だとか。
「本当に好きな人と一緒になれたら、その苦い思い出も忘れられるのではないか」だとか。
そういった悪意ゼロの追撃をくらい、私は物の見事に撃沈した。
うん…うん…ごめんなお嬢ちゃん方……
その超面倒くさい彼女って私ですわ……
2098人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:しま | 作成日時:2018年4月29日 21時