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重い足を引きずって帰宅した私は、玄関にバタンッと倒れ込んだ。




まさか原作キャラに尾行される立場になろうとは夢にも思わなかったよ…


今日は奇跡的に尾行に気づけたから良いけど、今後も同じようなことが続いたら上手くまける自信がない。




「やっぱり狙われてんのはディスクだよね…」




這う這うの体で部屋に入り、机の引き出しを開ける。


変わらずそこに鎮座する全ての元凶の姿に、はあとため息をついた。


家が特定された場合に備え、これからはディスクを肌身離さず持ち歩いた方が良いかもしれない…




それにしてもなんで昴さんにバレたんだ?


何がダメだった?


私ポアロで不審な行動とってた?


それともこの顔か?顔が悪いのか?


2人の諭吉さんが手を尽くして完成したこのパーフェクト一般人に、昴さんは一体なんの不満があると言うんだ…




頭を悩ませながらベッドに倒れ込む。




混乱しすぎて眠れそうにない…と思っていたがそれは杞憂に終わる。


疲れが溜まっていたのだろう、一瞬で眠りについてしまった。









『–––––––フン、死んでやがるかと思ったぜ。』




また夢だ。


しかもジンのご出演らしい。


あの低音イケボが聞こえてくる。




夢の中の私はどこぞに突っ伏して寝ていたのだろうか、視界は真っ黒だ。


ジンの声が耳に届いてから数秒後、ゆっくりと視界が開けていく。




『……ひでぇツラだな。』




対するアンタはすげえ綺麗な銀髪だな……


前から気になってたけどこの長髪どうやって維持してるの?


ちゃんとシャンプーとかリンスやってるのかな。


ドライヤーはどうしてるのかな。


さすがに自然乾燥じゃ間に合わないよねこの髪。




私がジンのヘアケアについて延々と考えているうちに、夢の中の私も何かを喋ったようだ。


ジンが『あ゛?』と地を這うような声を出す。




『ふざけんな。バーボンにでも頼め。』




何かジンに頼み事をしたらしい。


命知らずか。


しかも私は断られてもなお粘っている様子。


命知らずだ。




『チッ…!くどいぞメルロー!そんなに殺されてえか!』




夢の中の私はジンの腕に抱きついて駄々をこねている。


こわい……私の鋼メンタルこわい……


そろそろジンの手が拳銃に伸びそうである。




『うるさいですよ。何を騒い…、で……』




この現場にバーボンが乱入した。




ジンの腕にすがりつく私を見たバーボンの顔から、一瞬、表情が消えたように見えた。

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作者名:しま | 作成日時:2018年4月29日 21時

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