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「はい、神風です」
『あ、も、もしもし、金田一、です』
「ど、どうして敬語なんですか……?」
『い、いや、なんかさっきのこと思い出すと、つい……。神風さんも、敬語外していいぞ』
「え、あ、ありがとう」
やっぱり私は怒らない方が良いのかもしれなかった。金田一くんにまで怯えられてしまっている。自室へ戻ってすぐかけてこられた電話に、とりあえず謝っておいた。
やはり先程の電話は及川さんの携帯からだったようで、違う番号からかけられてきた電話から金田一くんの声がした。一応約束は守るらしい。
「そ、それで、期間とかの詳細、聞いてもいい?」
『あ、そうだ。ちょっと待ってな……』
申し訳なさそうにしつつもテキパキと情報を伝えてくれる。やはり伝達者を彼にして正解だった。及川さんと話すよりも冷静で落ち着ける。彼からしたらいい迷惑かもしれないけれど、そもそも私の電話番号を及川さんに渡したのは彼なのだ。このくらいは甘受してほしい。
「……うん、期間は明日から今週末まで、だね。授業の後に行くことになるから、平日は少し時間がかかるだろうけれど、うん、それで大丈夫」
『……なんか、及川さんが勝手に決めたことなのに、いいのか?』
心配そうな彼の声に少し口角を上げる。机の上に走らせていたシャーペンをピタリと止めて、「優しいね」と告げた。彼はいつも私を気にかけてくれている気がする。
「約束は約束だから、仕方ないよ。それに関してはその賭けに乗った影山くんも悪いし、影山くんの後始末をしに行くだけだから」
『け、結構キツいこというよな、神風さん……』
「そ、そうかな……」
『でも、身内だからって贔屓してるわけじゃ、ないんだな』
少し真剣になった彼の言葉に頷いた。電話だから見えるはずもないけれど、自然とそうしてしまった。
「……うん、そう。私は影山くんの事が大好きだけれど、だからって何でも許す訳じゃないから」
『……か、神風さんって、直球、だよな』
「ん?うん」
彼は何だか気まずそうにええと、と言いながら息を整えた。そして何度もされたその質問をしてきたので、私は違うよと否定した。
「彼は私の、大事なお友達」
『そ、そっか』
「だから、そこにいる人達にも言っておいてね」
『え!?』
『はっ!?』
「じゃあ、また明日ね、金田一くん」
慌てた「また明日」を聞いて電話を切る。相変わらず金田一くんは隠し事が苦手なタイプだなあ、とぼんやり思ったまま、本棚にある医学書を取り出した。
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ReG(プロフ) - なこさん» 閲覧して頂きありがとうございます。今後も読んでくだされば幸いです。 (2022年4月18日 14時) (レス) id: d40d8fc65b (このIDを非表示/違反報告)
なこ(プロフ) - とてもおもしろくてすいすい読めて読み応えがあります(^-^)/ 更新楽しみにしております(⋆ᴗ͈ˬᴗ͈)” (2022年4月2日 19時) (レス) @page22 id: 5054bb840e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ReG | 作成日時:2022年3月22日 15時