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インフルエンザ五日目になると、すっかり回復して熱も下がった。平熱を示す体温計を私の世話をしてくれていた加賀さんに見せると、
「そんなに自慢げに見せなくても大丈夫ですよっ、分かりましたからっ！」
と慌てさせてしまった。彼女は慌てん坊なので、このくらいの些細なことでもわたわたとしてしまう。年齢が比較的近いからか、可愛らしいという印象が未だ拭えない。
机に広げた参考書と問題集にテンションが上がる。やっぱりこれがないと生きている気がしない。影山くん達のお勉強を見るのも楽しいが、まだ理解していない分野を勉強することが、私にとっては一番楽しいのだ。
「未知は恐怖、だけど、やっぱり魅力的だなぁ」
思わずそう呟いてしまうほどに私は機嫌良く机に向かっていた。その日のうちに参考書が二冊、本棚に戻された。
インフルエンザ六日目、病院に行ってお医者様から学校に行っても大丈夫か確認をしてもらう。お医者様は私が医療の知識があると分かると少し驚いていたが、
「前回来てもらった時に話が余りにもスムーズだったからねえ」
と納得したように頷いていた。将来は医者かな？と言われたが、まだその辺りは考えていなかったので、曖昧に誤魔化しておいた。私が勉強好きの変人だということはあまり人に話したくはない。
とりあえずお医者様の判断は私と同じだった。明日からようやく学校にいける、とほっとする。とりあえず心配性な彼に連絡しよう、と携帯を開くと、丁度電話がかかってきた。
「はい、神風です」
『治ったか』
「うん、大丈夫だよ。……お昼休みに入ってすぐかけてきてくれると思わなかった」
私が笑うと、彼は『うるせえ』と拗ねたように言った。だけど、その気遣いはとても嬉しいものだったので、すぐにごめんね、と謝った。
「明日から学校に行けるから、迎えに来てもらっていい？」
『分かった』
「ありがとう。今日また分からないところがあったら、電話していいから」
『ああ』
電話でも相変わらずサッパリしている返事だったが、彼が少しだけ嬉しそうにしているのが分かる。彼の日常の中に私はきちんと存在していたんだと実感出来て、なんだかむず痒い。だけど私も嬉しかったので気にならなかった。
「じゃあ、また後で」
電話を切ると受付の看護師さんに呼ばれる。お会計を済ませてお礼を言うと、柔らかに微笑みながら
「彼氏さんですか？」
と言われるので、私はいつも通り、
「いえ、大好きな、お友達です」
と返した。
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ReG(プロフ) - なこさん» 閲覧して頂きありがとうございます。今後も読んでくだされば幸いです。 (2022年4月18日 14時) (
レス) id: d40d8fc65b (このIDを非表示/違反報告)
なこ(プロフ) - とてもおもしろくてすいすい読めて読み応えがあります(^-^)/ 更新楽しみにしております(⋆ᴗ͈ˬᴗ͈)” (2022年4月2日 19時) (レス) @page22 id: 5054bb840e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ReG | 作成日時：2022年3月22日 15時
