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「影山くん、本当に勉強しなくなったのが分かるね……」
図書館についていつも通り自作のテストをしてもらい、採点し終わったところで思わずぽけっとしてしまった。
つい何ヶ月前までは出来ていた基礎的な部分が、どうやら影山くんの頭からかなり抜け落ちているようだった。バツ印が多い紙から彼は目を逸らす。逸らしたって結果は変わらないのだが、怒らないよ、と言うと、そろりと私に目を合わせた。
とりあえず時間が許す限り彼の頭に知識を叩き込む。どうにか補習にならないよう、苦手分野から攻めることにした。嫌そうな顔をしたけれど、自分の置かれている状況を理解しているから、彼は静かに取り組んだ。
一時間して休憩、一時間して休憩を繰り返していると、あっという間に夕方を過ぎた。相変わらず彼と過ごすと時の流れが早く感じる。今回に限っては楽しいからでは無く、あまりにも教えることが多かったからなのだが。
「終わりにしよっか。外、もう暗くなってきてるから」
「分かった」
「……そんなに元気なら、もうちょっとやってもいいかな？」
「ゲッ」
「冗談だよ。疲れたもんね、また明日にしよう」
終わりの言葉に素早く返事をした彼をからかうと、彼は不満そうに眉を顰めた。でもそれもすぐに緩んで、勉強道具を片付けて「行くぞ」と私に声をかける。
あと残り三週間だ。それだけあればなんとか出来るとは思うが、油断せずに教えなければ。赤点回避は当たり前に、それ以外でも平均点以上は取って頂きたい。
「……あ、大丈夫だよ、ここまでで」
影山くんのお家の近くまできて私がそう言うと、何を言ってるんだ？と言わんばかりの目で見られてしまった。何だか久しぶりの不思議そうな目だった。
「あ？いい、送る」
「でもお家、過ぎちゃうよ」
「そんな距離ねえだろ」
引き下がらない彼に少しだけ考え込んで、「じゃあお願いしていい？」と聞いた。返事は無かったけれど小さく頷かれたので、そのまま歩く。ようやく電灯がパッとついた。
これが日常化してるからか、彼は毎回私のことを送ってくれる。そんなに気を遣わなくてもいいのに、と思う半分、お話する時間が増えて嬉しい、という邪な気持ちもあるのだ。
彼にバレることはないだろうけれど、とちらりと顔を見上げると、ばちりと目が合った。
「どうしたの？」
「いや……眼鏡」
「明日は学校だし、かけるよ」
「……あっそ」
まだ引きずっていたのか、と彼の子供らしさに苦笑した。
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ReG(プロフ) - なこさん» 閲覧して頂きありがとうございます。今後も読んでくだされば幸いです。 (2022年4月18日 14時) (
レス) id: d40d8fc65b (このIDを非表示/違反報告)
なこ(プロフ) - とてもおもしろくてすいすい読めて読み応えがあります(^-^)/ 更新楽しみにしております(⋆ᴗ͈ˬᴗ͈)” (2022年4月2日 19時) (レス) @page22 id: 5054bb840e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ReG | 作成日時：2022年3月22日 15時
