紅葉が30枚 ページ32
優羽side
優羽「・・・」
暗い暗い闇の中。
誰の声も聞こえない。
何の気配もしない。
何も見えない。
私は確かにそこにいた。
見わたす限り黒しかない、そんな世界に。
でも、その場所はとても寒くて思わず身震いした。
寒さのあまり蹲っていると遠くの方に光が見えた。
何故だかその光は暖かいような気がした。
触れてもいないのに、近付いてもいないのに、そんな気がしてならなかった。
その光が私の寒さを癒してくれるような気がしたんだ。
私は我慢できなくなって、光の方に歩いた。
距離が縮まるにつれて光は小さくなっていき、やがて「誰か」の後ろ姿に変わった。
その「誰か」は私に背を向けている。
けど、暗くて誰だか分からない。
声をかけようと手を伸ばした時、「誰か」が振り返った。
優羽「!!?」
声が出なかった。
時が、心臓が、止まったかと思った。
振り返った「誰か」の正体は私の大切な人だった。
優羽「___、なの?」
?「・・・」
私が確認するように聞くと、___はゆっくり頷いた。
やっぱりその子は___だった。
頬を伝う雫が溢れ出して止まらない。
私が泣いていると___は私の頬にそっと触れ、涙を拭いた。
まるで壊れ物を扱うかのように。
しばらくして私が泣き止むと___はまた私に背を向けた。
優羽「___?どうしたの?」
?「・・・」
___は何も言わない。
無性に嫌な予感がして、胸がざわついた。
優羽「___、どうして何も言わないの?」
?「・・・」
すると突然___は歩き出した。
優羽「どこに行くの?」
私は___について行こうと足を動かした。
いや、私の足は動かなかった。
優羽「何、これ・・・」
暗闇の霧が足にまとわりついてきた。
力ずくで振りほどこうとするも、どうにも出来ない。
優羽「待って!___!!」
?「・・・」
___は私の声が聞こえていないのか、どんどん前へ進んでいく。
取り残された私はとうとう1人になってしまった。
どうしようもない恐怖が私の心を支配する。
優羽「___!!___!!」
必死で___の名前を呼ぶ。
嫌だ!
嫌だ!!
いなくならないで!!
1人にしないで!!
葉月!!!!
優羽「っ!・・・ハァ、ハァ」
そして私は夢から覚めた。
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作者名:和丸 | 作成日時:2019年5月2日 1時