【第弍拾伍話】 横浜:探偵社内:事務室 ページ34
医務室から出た敦は、応接室の片付けをして居た。因みに共に居た太宰は気付いたら何処かに消えた。
自由奔放な太宰が今更何処かに消えようとも、もう皆慣れっこなので追求はしない。
しても無駄だと判って居る。
テキパキと片付けをしていく敦に、眼鏡を掛けた生真面目そうな長身の男が声を掛けた。
「敦、客人は医務室か?」
「あ、『国木田さん』。お二人は医務室に居ますよ」
『国木田 独歩』。其れが彼の名前だ。
常に『理想』と大きく書かれた手帖を持っており、彼も又【異能力者】だ。
「先程、出掛けて居た社長から連絡が来てな。乱歩さんと共にもう直ぐで探偵社に着くらしい。
客人について、何か判ったか?」
国木田は手帖を開き乍ら問うた。
「いえ……特には。一応事情聴取はしたんですけど、詳しい事は何も」
敦は机の上に置いてあった、膝丸達の調書を国木田に渡した。
「……そうか。まぁ、乱歩さんが戻ったら自ずと明らかになるだろう」
国木田は調書に目を通し、『名:膝丸・堀川』と書かれた欄で違和感を感じた。
(……『膝丸』に『堀川』?慥か此の名は刀剣にある名で……)
国木田が不思議に思い敦に問おうとした時、探偵社の入口が開き二人の男が入って来た。
一人は銀色の髪に和服、凛とした雰囲気を纏う男。
その隣に、黒髪で細目。如何にも探偵である!と云ったような服装の青年。
「社長、乱歩さん!お待ちしておりました」
国木田が二人に駆け寄り、敦もその後に付いて行く。
探偵社 社長『福沢 諭吉』。
探偵社調査員の大黒柱『江戸川 乱歩』。
「なぁに、国木田!何かへんてこりん客が来たんだって?」
「……一人が瀕死状態だと聞いたが、無事か」
福沢と乱歩は、武装探偵社事務所の二代柱だ。
「はい、少女と男二人。
少女が瀕死状態でしたが、与謝野さんが治療済みで後は目を覚ますだけだと。
敦と鏡花が路地裏で出会った様ですが、未だ詳しい事は何も……」
「へぇ〜。客人の面会は?」
「可能だよ。未だ男達の治療は終わッてないけど、話を聞いてから治療予定サ」
国木田が福沢に報告し、乱歩の言葉に給湯室からひょっこり出て来た与謝野が答えた。
「そうか、なら私が伺う。……乱歩」
「はぁい」
医務室に向かい始める二人に、敦が慌てて声を掛けた。
「……あっ、待って下さい社長!
二人に会う前に、その二人から云われた事があります!」
振り向いた福沢と乱歩に、敦は先刻迄の事を話した。
【第弍拾陸話】 横浜:探偵社内:事務室→医務室→←すずのねとあか
608人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
乙女になりたい。(プロフ) - お疲れ様でした!!とても楽しい作品でした!! (2020年10月11日 1時) (レス) id: a5fb63b44e (このIDを非表示/違反報告)
焼きまんじゅう(プロフ) - あやとりさん» お久しぶりです、僕の方こそ有難う御座います!続編も合わせ、是非とも宜しく御願いします……♪ (2018年3月10日 22時) (レス) id: 1eccbbab7e (このIDを非表示/違反報告)
あやとり - 焼きまんじゅうさん» ふわぁ…私こそ毎回この作品を楽しませていただいき本当にありがとうございます!これからも頑張ってください! (2018年3月10日 20時) (レス) id: bfcb2a7bd0 (このIDを非表示/違反報告)
焼きまんじゅう(プロフ) - はい、複数人ならば構いませんよ!リクエスト有難う御座います……☆ (2018年3月10日 20時) (レス) id: 1eccbbab7e (このIDを非表示/違反報告)
優梨奈(プロフ) - 粟田口と三条(でもいいんですかね?)でお願いします! (2018年3月10日 20時) (レス) id: 7cf4248c7f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:焼きまんじゅう | 作成日時:2017年10月9日 5時