結論と疑問 >>【第拾伍話】 ページ21
「……以上が、避難場所を確認して来た結果だ」
三日月が頸を傾げ大広間を見渡し隣に座った数珠丸恒次に「……話忘れは無いな？」と
確認した。「えぇ。有りませんよ」と静かに数珠丸は返す。
そんな遣り取りをして居る三日月達に、背の高い大柄な青年が声を掛けた。
「……ぅん？三日月は、先刻何て云った？」
「ん？……もう一度話した方が良いのか？
何処が判らなかったか云って呉れ､『御手杵』。質問なら受け付けるぞ」
頸を傾げた三日月の視線の先、大広間の隅に座る青年＿＿『御手杵』｡
名高き天下三名槍の御手杵は緑色を基準とした服装にぴょこぴょんと四方に跳ねた茶髪。明るい茶褐色の瞳と、運動好きの好青年と云う様な出で立ち。
然し、今その茶褐色の眼は驚いた様に開かれて居た。
「えっ？いや……俺だけが理解出来なかったのか？間違ってるのか？
聞き間違いじゃなければ三日月達は先刻『主は生きて居る』って云わなかったか？」
半信半疑。自分が聞き間違えたのかと御手杵は三日月に問うた。
御手杵の疑問は黙って居る大勢の刀剣達の疑問でもある｡
皆口にしては居ないが、頭は今も疑問符で覆われて居るのだ｡
そんな事を知ってるのか知らないのか……判断は付かないが三日月は飄々と云ってのける。
「嗚呼。俺は慥かにそう云ったぞ。……『主は生きて居る』」
「はっ？！え、何でそう云い切れるんだよ？ えっ……やっぱり俺だけが判って無いのか？！」
御手杵は片手で頭を抱え「訳分からん……」と呟いた。
その呟きに、黙って居た青江が口を開く。
「……『この姿の侭、顕現し続けて居る』と云う事が主が生きて居る事の証明となって居るんだよ。
僕等のからだには、常に主の霊力が流れてる。
自分の神力に混ざって判りにくいかも知れないけど、皆一旦落ち着いて力を辿ってみなよ。備蓄量に差は有るけど、未だ辿れる筈だよ。
三日月さん達が断言するのはその事が判って居るからだね」
青江は胸に手を当て目を閉じ、深呼吸した。
同じ様に多くの刀剣男士が自分の神力＿＿その中に流れる霊力を辿る｡
「……主と僕達の縁は未だ途切れて無い。判りにくい程薄れてるけど、からだに流れてる霊力は消滅せずに此処にある。
それは何よりも『主が生きて居る』証明だよね。それよりも……」
「もんだいは『どうしてあるじさまはじんじゃにいなかったのか』です。
……それについて、三日月たちはどうかんがえたのですか？」
青江の言葉に今剣が鋭い声で被せた。
仮定と可能性 >> 【第拾陸話】→←問い合わせと結果 >>【第拾肆話】
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 608人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
乙女になりたい。(プロフ) - お疲れ様でした！！とても楽しい作品でした！！ (2020年10月11日 1時) (
レス) id: a5fb63b44e (このIDを非表示/違反報告)
焼きまんじゅう(プロフ) - あやとりさん» お久しぶりです、僕の方こそ有難う御座います！続編も合わせ、是非とも宜しく御願いします……♪ (2018年3月10日 22時) (レス) id: 1eccbbab7e (このIDを非表示/違反報告)
あやとり - 焼きまんじゅうさん» ふわぁ…私こそ毎回この作品を楽しませていただいき本当にありがとうございます！これからも頑張ってください！ (2018年3月10日 20時) (レス) id: bfcb2a7bd0 (このIDを非表示/違反報告)
焼きまんじゅう(プロフ) - はい、複数人ならば構いませんよ！リクエスト有難う御座います……☆ (2018年3月10日 20時) (レス) id: 1eccbbab7e (このIDを非表示/違反報告)
優梨奈(プロフ) - 粟田口と三条(でもいいんですかね？)でお願いします！ (2018年3月10日 20時) (レス) id: 7cf4248c7f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：焼きまんじゅう | 作成日時：2017年10月9日 5時
