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【第玖話】 横浜:探偵社:探偵社内 ページ15

「あのぅ……すみません。彼方で手当てを受けてほしいのですが宜しいですか?
あっ、後路地裏で何があったのかお聞きしたいのですが……」

少々へっぴり腰気味でおずおず……と敦は膝丸と堀川に話し掛けた。

ピリピリとした空気を纏う二人に話し掛けるのは、臆病者の敦には一寸勇気が必要な行動なのだ。

「……手当?」

「あぅっ……えっと、あ〜……お、お二人共傷だらけですし、与謝野さんの治療を受ける前に簡易な手当を……と」

膝丸に低い声で返された敦はしどろもどろになり乍ら、奥に仕切られた応接室を指で示した。

威圧、即興(アドリブ)、嘘が苦手な敦である。
わちゃわちゃと手を動かして如何にか二人を説得しようと試みた。

敦は軽く半混乱(ぷちパニック)中である。

そんな敦をジッ……と見た膝丸と堀川は、お互いの顔を見た。

「如何する」と膝丸は堀川に目で問いかけ。
「任せます」と堀川は膝丸に示し、顔を伏せた。

二人の視線の会話を知らず、無言の圧力に耐えられなかった敦はわたわたと話し続ける。

「えっと、あの、お……女の子なら大丈夫ですよ!与謝野さんが完璧に治して呉れます!
ぅう、え〜と、あ、自己紹介が未だでしたね!!

僕の名前は中じ――――」

敦の不意と勢いで出た言葉を、膝丸が冷たく遮った。

「少年、自己紹介などしなくて良い。……今の俺達に、凡ての名を教えるな」

「……えっ?は、い……すみません……」

膝丸の口から出された言葉に、敦は黙った。

『凡ての名を教えるな』とは、如何云う事だろう?と、不自然に思い乍らも敦は膝丸達を見る。

敦の視線を受け止め、膝丸はゆっくりと云う。

「……俺達は今、許可無く己の事を話す事は出来ない。
断片的な事しか話せないが、それでも良いか」

そんな冷たい声に身を竦め乍らも敦は「大丈夫です」と頷き、二人を連れ歩く。

応接室は敦達が駆け込んだ非常階段の反対側、即ち出入り口の近くに設けられた場所である。

「此方です」

敦は仕切りを示し、膝丸達を応接室に通した。

膝丸と堀川は、黙って敦の後に続く。

【第拾話】 横浜:探偵社内:応接室→←【第捌話】横浜:探偵社:探偵社内



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乙女になりたい。(プロフ) - お疲れ様でした!!とても楽しい作品でした!! (2020年10月11日 1時) (レス) id: a5fb63b44e (このIDを非表示/違反報告)
焼きまんじゅう(プロフ) - あやとりさん» お久しぶりです、僕の方こそ有難う御座います!続編も合わせ、是非とも宜しく御願いします……♪ (2018年3月10日 22時) (レス) id: 1eccbbab7e (このIDを非表示/違反報告)
あやとり - 焼きまんじゅうさん» ふわぁ…私こそ毎回この作品を楽しませていただいき本当にありがとうございます!これからも頑張ってください! (2018年3月10日 20時) (レス) id: bfcb2a7bd0 (このIDを非表示/違反報告)
焼きまんじゅう(プロフ) - はい、複数人ならば構いませんよ!リクエスト有難う御座います……☆ (2018年3月10日 20時) (レス) id: 1eccbbab7e (このIDを非表示/違反報告)
優梨奈(プロフ) - 粟田口と三条(でもいいんですかね?)でお願いします! (2018年3月10日 20時) (レス) id: 7cf4248c7f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:焼きまんじゅう | 作成日時:2017年10月9日 5時

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