The Crow's Dream 5

目には目を歯には歯を ページ35

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目には目を、歯には歯を。
ハムラビ法典での罰則だ。
他人の目を害した者は自らの目をもって償い、歯を害した者は歯をもって償わなければならない。
つまり、やられたらやり返せ、という事だ。


「ウグァ！」


襲いかかってくる男の腹を蹴りながらため息をつく。
無駄な体力を消費している暇は無いのに。
学生時代に行ったことのある占いでは、平和主義のいい子だね、と称された。
一緒に行った友達は競争社会のピアノの世界で生きてるのに、当たらないんじゃないの？とケラケラ笑っていたがあながち間違いでも無い。
別に私には何をされたって構わない、私が仕返しをする事で不利になるくらいなら口を噤んで黙っている。
…けれどね、それが私の大切な人となると話は別。


「ま、待って…待ってくれ！」

「待たない。…何故クイーン側につくの？」

「ヒッ…」


暴力行為は禁じられていない。
ハートのジャック戦でバンダとヤバが行っていた残酷な拷問を思い出し、私は心を鬼に切り替えてしゃがみ込んだ。
…しょうがない、生き残る為。
コウタくんの、為。
顎をつかみながら、先程蹴った腹をグリグリと殴ると痛むのか眉をしかめる。
幸いクイーンは現れないようだ、アリス探しに躍起になっているのか知らないけれど…手薄なんじゃないの？
心の中でほくそ笑みながら
「さあ、言って」
と続ける。

成りきっているバンダが
「僕はそんなに野蛮じゃないよ。」
と不気味な笑顔を浮かべた気がした。


「言わないと…、」

「ヒ、分かった、分かった！」


降参のポーズを取りながら情けなく咽び泣くプレイヤーに手を離す。
口元に笑みを称えながら、フードの中、見えない瞳は剣呑だった。


「クイーン側につきゃあ必ず生き残れる必勝法があんだよ」

「…必勝法？」


私が食いついた事に気分を良くしたのか、所詮クイーンの下で働いているだけなのに得意気な男は尚も続ける。
どうやら、クイーンに残って相手チームを殺せばこの役を続投させて貰えるらしい。
すなわち一生死なないループだ、と。


「…馬鹿馬鹿しい」

強く→←誰でもいい、殺すだけ

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