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◆
最後までAは嫌そうな顔をしていたが、
観念したのか溜息をひとつはいて自分の能力について話し始めた。
「昨日言いましたが、……私は……直接人から血を吸えない……んです」
「…テメェ
「……正確に言うと
血を吸えないのは個人的な理由も含まれてるんですけど…」
いつまで経っても核心に迫らずやたら口ごもるAに段々とイラついてきた。早く話せと無言の圧で続きを促す。
「ローさん、
「簡単にならな」
ラミアとは、…まぁ簡単に言えば男を誘惑し喰らうという、神話に登場する生き物だ。
人間の女が、その美しさのあまり神に気に入られ愛されてしまい、その神の妻であった別の神に嫉妬され化け物にされた、という何とも不憫で可哀想な話である。
「何故この実の能力が“
ゆっくりと語られたAの能力。
ラミラミの実＿＿＿＿動物系幻獣種。
食べれば人の血を吸う吸血鬼になる。
残念ながら食べた本人が不老不死になることはないらしいが、治癒能力が高く攻撃を食らっても再生することができる。
「あと、私の血を与えることで他人の傷を治すことも出来ます。これについては私も相応のリスクを背負うのでそう簡単に使えるものではありませんが…。」
「私は先日、自分の能力を『吸血鬼と聞いて想像するものとほぼ同じ』と言いましたが。それだと若干の不足があります。」
Aは俺の様子を伺うようにちらりと此方を一瞥した。それからバツが悪そうに呟く。
「ラミアはヴァンパイアと違って、“他人を誘惑する”という能力を…持っているんです……。」
成程な、と俺はほくそ笑んだ。
Aが言うには、彼女が血を吸ってしまうと老若男女問わず相手に“快楽”を与えてしまうと。
つまり、彼女が飢餓状態になった時は自我を失い暴れるのではなく、自我と関係なく周囲を翻弄させる特有のフェロモンのようなものを発してしまうらしい。
「その能力があるせいか、飢餓状態の私は強くなるどころか弱いです。私は血が無ければ、普通の人間よりもずっと弱いので…。
……で、問題はそこにあります。」
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作者名：幸せうさぎ | 作成日時：2023年2月11日 3時
