名を付けるならなんと呼ぶ Ⅱ【ONEPIECE】 (ページ44)

今日:15 hit、昨日:12 hit、合計:27,269 hit

．．ページ44

◆

ローの血は、あまりにも甘味で、美味しかった。

これまでも生きるために血はいつも飲んでいた筈なのに、それとは全然、全く違う感覚で。
どの血液型の血を飲んでも、不味いと感じる事は無いけれどすごく美味しいかと言われると否、という程度にしか感じたことのなかった私にとって
それは本当に初めての味で。

今まで食べたどんな食事よりもどんなスイーツよりも美味しかった。
不本意だが、やっぱり私の体は吸血鬼なんだなぁと今更再確認させられる。血を飲まなければならないなんて本当に嫌な能力だとおもっていたけれど、

こんなに美味しい物を味わえるのなら少しはいいのかもしれない、なんて思ってしまっている自分に気付いて嫌気がさした。

吸血欲求が収まると、酷く倦怠感を感じた。足も痛むし、初めての血の美味しさに体がぞくぞくして、心臓が早鐘を打っている。体に力が入らなかった。

ローに壁へと押さえつけられていた腕を解放されてしまえば、自分のからだを支えることが出来なくて、気付けばもう私はローさんの腕の中で抱きとめられていた。

鼻腔をローさんの甘い匂いがくすぐって、さっきの血をもっと飲みたい、という考えが頭によぎった。噛み付いてしまいたかったけど、そんな体力も無い。

大人しくされるがまま、寝かされたベッドの上でローを見上げる。

「熱がある、原因は疲れと怪我のせいだろう。感染症は引き起こしてないから安心しろ、直に下がる」

飲んどけ、と言われた薬を飲み込んで、すみませんと謝ると「ペットの面倒を見るのは飼い主の仕事だ」と無愛想に返された。

意地悪で最低な野郎だ、とついさっきまでは思っていたけれど、ローはその後、かなり献身的に看病をしてくれた。
医者としての義務感なのか、優しさなのか、はたまたペットだからなのかは分からない。
小一時間くらいすると解熱剤の効果もすぐに出て、倦怠感はあっという間に楽になった。

ローは宿の食事を買ってきてくれたらしく。それを食べながら、私は改めて自分の能力について教えろと言われ話すことになった。

「別に隠そうと思っていた訳ではありません。隠すほどの特殊な能力…では多分無いですし。ですが……」

「でもなにか重大な弱点がある、だろ」

「……いえ……なんというか、私自身この能力が好きじゃなくて。…………恥ずかしい、というか」

は？という短い声と共にローが眉間に皺を寄せた。兎に角早く話せと促され、仕方ないな、と溜息を吐き、私は話し始めた。