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「も、むりっ、…っ」
へにゃへにゃと眉を下げて喘ぎにも似た溜息を吐くAの姿に、気が昂る。今にも泣きそうって顔だ。
悪いがそんな顔をされても、余計虐めたくなるだけで許してやろうとは到底思えなかった。
「っは、わ、わかった、わかったから、ぁ…」
「何が分かったんだ、ちゃんと言え」
「だから、その、……なる、から」
遂に涙を流すAはもうぐちゃぐちゃだ。まだ少女と呼べる女を壁に追い詰めて自由を奪って泣かせているなんて、俺も大した悪党だと思う。自覚はある。
「ちゃんと言わないと何にも分かんねぇな。何になるんだ、あ？？」
「……う、ぅ……いじわる、っ、」
「なんとでも言え」
ニヤけそうになるのを何とか押し殺してAが次に紡ぐ言葉を待つ。
「なります、ろーさんの、……飼い犬に。ん、うぅ、飼ってください、いうこと、ききますから、……血を、くださいっ、」
「………いい子だ」
嗚呼、本当に、彼女は俺をどこまで昂らせれば気が済むんだろうか。
ぞくぞく、
と、背筋になにか刺激が走るような、脳をびりびりと揺らすような、とんでもない衝撃に打たれる。
涙に濡らしながら俺の支配を乞うAに、酷く興奮した。
仲間になる、と一言 言ってくれれば良かったのだが。
素直な彼女には遠回しな言い方は理解できなかったらしい。俺の言葉通り、従順に服従の言葉を紡いだAの台詞は酷く俺を興奮させた。
……まぁいい。それならそれの方が都合がいい。
「上出来だ。くれてやる」
そう言って血の滴る手首を差し出すと、Aは迷うこと無く俺の腕へと舌を這わせた。
滴り落ちていた血液を掬うように舐め上げ、段々と傷口に小さな口を近付けていく。
そして、俺が自ら噛んで傷を付けた患部に辿り着くと、唇で優しく食んだ。
てっきり、吸血鬼のイメージ的には…犬歯を使いいきなり噛み付いて血を吸うのかと思ったのだが。Aは、優しく手首を食みながら丁寧に俺の傷口を舐めとる。
「ん……っは、…ぁむ、っ、ふ、ぅ…」
荒い息はそのまま、恍惚に満ちた表情で俺の血を舐めているAは、時折唇を使って優しく吸い付くようにしてリップ音を鳴らす。口から漏れる声や息遣いも、酷く扇情的だった。
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作者名：幸せうさぎ | 作成日時：2023年2月11日 3時
