名を付けるならなんと呼ぶ Ⅱ【ONEPIECE】 (ページ4)

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Aは扉にそっと触れ、目を閉じる。今必要なのは聴覚と触覚ーー。扉の向こうへ意識を集中させていく。

「扉の厚み15cm前後、奥に真っ直ぐ通路です。
天井の高さは今私達がいる場所と同じ。幅はここより狭い。……1.8mくらい。
扉の目の前、距離30cmの所に1.5mの間隔を空けて2人。壁にもたれるように立ってます。」

Aの言葉を聞いたローは、切れ長の目を少しだけ見開いた。暗闇の中でもハッキリと色を捉える事が出来るAの目に、薄灰色の瞳はぎらりと光ってみえる。

結ばれていた口がなだらかに弧を描いて、ローは不敵な笑みを浮かべて見せた。
Aの回答はどうやら彼の要求にちゃんと応えられていたらしい。

「…上出来だ。」

何処と無く嬉しそうに見えるローがその場で刀を抜刀する。
まさか、扉を切るつもりなのだろうか、と一瞬頭によぎったけど、それならさっきの質問の意味がわからない。

「いいか。今から一瞬で中に移動する。敵との距離は1.3m。俺が二言、話したら目の前の奴を0.5秒で気絶させろ」

「………は、何、言って」

詳しく説明を要求しようとしたのに、ローは一切Aに目もくれない。

「“ROOM(ルーム)”」

ローがひと言声を発する。と、同時に、ブゥン…。と、ドーム状に何か薄い膜が貼られたような空間が広がる。これは、悪魔の実の能力。

状況を整理する時間なんて与えられない。

「“シャンブルズ”」

息継ぎも無しに二言目が放たれたその瞬間、
私の目の前ーーーそこには確かに人が居た。