名を付けるならなんと呼ぶ Ⅱ【ONEPIECE】 (ページ26)

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人を信用すること、信用されることを極度に拒み、他人と線を引く。礼儀正しい行動の底にある、「踏み込まないでほしい」という境界線が見え隠れしている。

Aと出会ってまだ3日と経っていないけれど、段々、少女の不安定さにローは気付き始めていた。
Aはあまりにも、アンバランスだ。

こうして、何事にも素直に礼を言う態度も、捕らえられている人を助けたいと思う心も、人と食事を取るのは久しぶりだ、と言った時の寂しい表情も。
それはあまりにも純粋で、年相応で、平凡な少女の様なのに、その反面で、淡白で、冷酷な考えも持ち合わせている。

目的の為なら取捨選択＿＿何かを犠牲に出来るということ、
頑なに他人と距離を取り一線引こうとすること、
決して助けを誰かに乞うたりしないとこと、
そういった部分は、随分と大人な対応すぎるというか。物分りが良すぎるようにローの目には写った。

Aの行動や表情は、彼女自身と随分乖離している気がする。

一体、なにが彼女をそこまで孤独に追いやっているのか、測り兼ねる。ローはそれ程まだ、Aのことを知らない。

ただ、そんな彼女の姿に、嫌な影を重ねて見てしまう自分がいた。

だから頭を下げるAの頭を撫でてしまったのは、半ば無意識のようなものだった。

少しでも安心してくれればいいのに、とか。
その少女が、年相応に誰かに甘える事をこんなにも重たく受け取らなくていいようになればいいのに、なんて。
らしくも無い甘っちょろいことをどこか頭の隅で考えてしまっていた。