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「ここからは今までとワケがちげぇぞ。大丈夫か？
「ふん、当たり前でしょう。」
皮肉を含んだ揶揄うような呼び方は、彼なりのジョークのようなものなのだろうか。分からないけど、機嫌が悪い訳では無いのだろう。
目の前の扉を見上げる。冷たく重圧な扉は、ローがおあつらえ向きだ、と言った通り、これ見よがしに頑丈そうな錠がついている。
しかもここは既に地下。今までみたいに簡単に能力を使っての侵入も難しいだろう。
「どうやって中に入る？」
「…隙間でもあれば、私が“
唇に手を当てて数秒。思考の末、
鍵を持っている人間を襲って奪うしかありませんね、と返した。
こんな所で事を荒立てるのはかなり不本意な上、地下にいる敵に警戒する時間を与えてしまうことになる。
それはローも分かっているのか、でも焦った様子等は少しも見せずに、ゆったりとした足取りで扉へ近づき、立ち止まる。
数秒そうして悩んだ後、私を見下ろして口を開いた。
「おい、吸血屋。扉の向こうに人は居るか」
「……………いますね。2人」
「この扉の先に広がる空間の大きさは分かるか？」
吸血屋、
突然降ってきた単語は聞き慣れない。が、おそらくAのことを言っているんだろう。
こんな状況下で一々反応するのも面倒だ、とその呼び方を受け流した。
問われた質問の内容を考察する。ローが何をしたいのかはよく分からなかった。
けど、彼は無駄なことをする人じゃないだろう。既にこれまでの立ち回りを見て、ローは余計な事はしない人だな、という印象がAの中で出来上がっていた。
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作者名：幸せうさぎ | 作成日時：2023年2月11日 3時
