名を付けるならなんと呼ぶ Ⅱ【ONEPIECE】 (ページ19)

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．ページ19

「“夜の帳(メルトナイト)”」

そう唱えると、Aの右腕が闇に解けて、無数の蝶へと形を変える。
そしてそのまま、ローの周りにいた海賊達に照準を定めた。

「“蝶の舞(フラップ)”」

そう唱えると同時に、蝶がナイフのように鋭い刃物へと姿を変え、敵に飛んでいく。

飛ばした真っ黒な闇のナイフはローの周りに居る海賊たちに見事に当たり、その数を大きく減らした。

「……流石にアシュロフには…当てられそうにないか……」

部屋の中心で大剣を振り回しているアシュロフは、ローと共に激しく動き回っていて、狙いを定めるのは難しい。
何よりローに当たってしまいそうだった。

諦めて他の部下たちの制圧に徹しようとした、その時。
殺気と発砲音を感じ取り、即座にその場を飛び退いた。

「っぐあぁ！！！」

Aが飛び退いたせいで流れ弾に当たった海賊が1人、ばたりと床に倒れる。
殺気がした方を見ると、そこにはもう1人の賞金首、“二丁銃のパトーネ”が立っていた。

「おうおう、妙な技を使う奴が居ると思ったら……てめぇまさか、能力者か……？」

部下に自分の放った弾丸が当たっても表情一つ変えずに、けろりとしている。
体格はアシュロフ程では無いが、随分と背が高いそいつは、長い髪を真っ直ぐ垂れ流して、海賊だと言うのに1人、スーツを着ていた。

「おもしれぇ、売ったら良い値が付きそうだ」

無表情のままそう呟いたパトーネが銃を構える。
……ここに居たら背後のローさんに当たりかねない。
そう考えて、素早く目線を動かしこの広い倉庫のさらに奥、別の部屋へと走った。

「おいおい、逃げるな、チビ能力者」

＿＿＿＿予想通り、追ってくる。
これなら一体一だ。