名を付けるならなんと呼ぶ Ⅱ【ONEPIECE】 (ページ12)

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ショックを受けるべき所では無い。
むしろ好都合だ。もし兄の情報が見付かれば、一足飛びに目標達成なのだから。
恐ろしい組織に関わる必要も無くなるのだから。

兄が競りに出されたのはもう随分と昔の話で、その行く末を辿るのはかなり難しい。だがもし私達が連れて行かれたオークション会場を割り出すことが出来たなら、足取りの一端でも掴めたならば、“買い手”を辿って行けるかもしれないのだから。

何も悟られないようにゆっくりと、静かに息を吐いた。

「どうする」

なんの感情も含まない、淡々としたローの声。なんら変わらない調子に安堵した。変に心配される方がずっと不愉快だ。

「…“幹部”の居る場所を特定できそうな情報を探しましょう」

何をどうする、と聞いているのか、真意は分からないけれど。私達は情報を探りに来たのだから、それが最善な筈だ。そう思ったのに、

「ここは“アタリ”だった。恐らくこの施設のどこかに“商品”とそれを売り捌いてる海賊もいるだろうが。」

「っ！！」

相変わらず私の耳元で静かに紡がれる言葉は、予想外の内容だった。目線を上げて、ローの目を見る。笑みも憂いも浮かばない顔。濃いクマが、獣のように光る瞳の輪郭を強くはっきりと際立たせている。