名を付けるならなんと呼ぶ【ONEPIECE】 (ページ29)

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＿＿＿＿不快、だった。

丁度いい距離感で接する、冷たい人だと思ったのに。それが心地良いと思ってしまったからこそ、無駄な言葉を吐いてしまったかとAは後悔した。
自分は同情を誘うようなことも、正義を掲げるようなことも言わなかった、筈だ。
勝手に抱いた期待を打ち砕かれたような身勝手な落胆。

そう安易に、“手を貸す”等と言って首を突っ込まないで欲しい。それがAの引いた線引きだったのに。

ローの顔色を伺ってみても、矢張りそこに感情はないように、見える。一体どういう見解で“手を貸す”等と言い出したのか、Aにはさっぱり分からなかった。

「……分からない様なので、優しさで、言っておきますが」

口から出た皮肉は、幼稚な仕返しか、八つ当たりか。

「バックにいるのは、巨大で巨悪な組織です。
その危険さが、貴方なら分かるかと思ったので話したのですが。
どういうつもりか知りませんが、生温い同情で手を貸そうとしているなら迷惑です」

たったひとつの目的の為に、自分が切れるカードは迷わず切ってきた。それなのに、Aは核心に迫る情報は何も手に出来ていない。
それで漸く、自分がどれだけ無謀な戦いを挑もうとしているかを理解した。

一向に見えない組織の全貌。知れば知る程、その巨大さと巨悪さを思い知らされるだけだった。
私みたいな子供一人が太刀打ちできるようなちっぽけな組織では無かったのだ。