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「その後確認したらテメェの腹の穴が塞がってた。
意識のない女1人をあの裏町に放置するのもどうかと思って、一応部屋に運んだ。で、今に至る」


「……成程。」


静かに話を聞いた少女は、少し考えるような間を空けたあと、「それは大変なご迷惑を。お手を煩わせてしまいました、ありがとうございます」と、もう一度頭を下げた。


「で、テメェの質問には答えたが。次は俺の質問だ……答える気はあるか?」


そう問いかけると、柳眉をひそめて困ったように微笑んだ。それもなんだか決まりごとのようなアクションに感じる。本当に困っているのだろうか、あまりに感情が読み取れない。


「……まぁ、そこまで見られていたら、気になりますよね。
…………助けてもらった恩がありますから、お答えしますよ」


彼女も予想していたことだろう。進んで話したくはないのかもしれないが、下手に隠す様子もなさそうだった。おそらく、俺が何を知りたがっているかも大体分かっている筈だ。


「物分りのいい奴は嫌いじゃねぇ」

「……簡潔に、でいいですよね」

「あぁ。そっちの方が助かる」


わざわざこっちから質疑応答をしなくても説明してくれるらしい。本当に、その物分りの良さと頭の回転の速さは良い。馬鹿と話すと無駄な体力を消費する。

テンポよく進んでいく無駄のない会話にゆるく愉悦を覚え、しかし、目の前の彼女同様、俺もそれは少しも顔に出さずに彼女の言葉に耳を傾けた。

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作者名:幸せうさぎ | 作成日時:2023年2月10日 10時

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