飲み干すキャロル ページ40
甘くどろりと舌に広がるブランデー。
ミステリアスに鼻を通り抜けるのスイートベルモット。
この想いが讃歌となり、貴方に降り注ぎますように。
飲み干すキャロル
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◆シャチside
目の前にいるAは、いつもより早いペースでぐいぐいとグラスを煽っている。お酒というものは不思議なもので、楽しければ楽しいほど進んでしまうものなのだ。
Aはお酒に関して特筆して強いわけでもなく、そして弱い訳でもない。限界に近づけば近付くほど顔が赤くなるからわかりやすい。
そして、宴の席の翌日に俺たちがどれだけ二日酔いでダウンしていてもAはいつだって必ずけろりとしていた。己の限界をちゃんと見極めているのか、と思いきや、実はそうでは無い。
ふにゃ、ふにゃ、と笑っているA。飲んだ酒の量に反比例して笑いの沸点が下がっていくらしく。箸が落ちただけでも笑うAの笑い声は、よく通るのに煩くない。
今日は本当にいつもより酔いが早かった。理由は明確。楽しかったのだろう。
放浪中に出会ったという面白い海賊団の話は確かに愉快で、そりゃキャラ立ちすきだろ、と何度も突っ込みたくなるような内容だった。
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作者名:幸せうさぎ | 作成日時:2023年2月9日 0時