Episode 08 ページ8
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「 ＿＿少し、お薬を飲み過ぎてしまったのでしょう 」
胡蝶は冷静に、そう言った。
胡蝶が思うに、薬を飲み過ぎて酸素供給が不十分となり、
簡単に言えば酷い貧血状態。
早急にAと同じ血液型の血を輸血しなけばいけないと言われ、
かなり抵抗はあるものの、Aを助ける為だと俺は懇願した。
＿＿＿＿ 美しい彼女の身体に、俺の汚い血が流れてしまう。
すまない、すまない、すまない、A。
「 念の為、3日程入院して頂きます。
Aさん、お薬は決められた数だけ飲むものですよ、
飲み過ぎてしまうと毒になります、めっ、です 」
「 …えへ、ご迷惑おかけしてすみません…… 」
俺が部屋に入ると、
白いキッチリと4つ並んだベッドの1番端で
先程目覚めたばかりのAは申し訳なさそうにしていた。
胡蝶は俺に気付くと、「それでは、一旦失礼致します」と
俺の横を通り、部屋を出た。
＿＿＿＿ ゆっくりとAの方に向かう俺に気付き、
Aは怒られるとでも思ったのか、
びくびくした様子で布団をぎゅっと掴む。
「 ＿＿＿＿ どうした、何故この様な事をした？」
「 ぇと…、お薬、飲もうとして 」
「 それで 」
「 沢山飲んだら、どうなるんだろうって、それで 」
涙が出てしまう時、特にしんどいと思う時、
胡蝶から1回3錠と頂いた錠剤がある。
何を思ったのかAは、1回に2週間分を飲んだという。
「 伊黒さん、久しぶりに任務でいなかったし…、 」
「 ……はぁ、
馬鹿、何の為に量が決められていると思っている。
今回は胡蝶に処置をして頂いたが、
もう少し遅かったらどうなっていたか…… 」
「 …もう、もう出来ません。
だって、伊黒さんの血が流れてるから 」
そのAの言葉に、少し驚いてしまった。
御館様と煉獄、そしてAだけが
俺の汚くて救いようのない過去を知っている。
＿＿＿＿ 申し訳ない、こうする事でしか君を救えなかった。
そう言おうとした時、Aは続ける。
「 伊黒さんの血、嬉しいです。
もうこんな事、絶対にしません… 」
「 … 約束できるのか 」
「 はい、えへへ、
伊黒さん、ごめんなさい 」
この約束は、
初めてAが守る事が出来たものだった。
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作者名：うるりもち | 作成日時：2025年9月15日 2時
